【結論】孫の自由研究の「まとめ」は、AI(人工知能)を書く道具ではなく、質問してくれる相手として使うと、孫の言葉のまま、見ちがえるほど仕上がります。
- 要点1:AIに頼むのは「順番の整理」と「質問」まで。文章を書くのは孫本人
- 要点2:スマホのChatGPT(チャットジーピーティー)に話しかけるだけでOK。むずかしい操作はありません
- 要点3:始める前に「学校のきまり」「保護者の許可」「個人情報を入れない」の3つだけ確認
対象読者:夏休みに孫の宿題を見てあげたい60〜80代の方、その様子を手伝いたい子世代の方
今日やること:この記事の「質問文1」をコピーして、ChatGPTに貼り付けてみる
8月に入ると、こんな場面がよくあります。観察も工作も終わっているのに、模造紙(もぞうし)は真っ白のまま。「まとめが苦手で、手が止まっているんです」と、帰省してきた娘さんや息子さんから相談される——。
じつは自由研究でいちばんつまずきやすいのは、テーマ探しではなく「まとめ」の段階なんです。材料はそろっているのに、どの順番で、何を書けばいいのかわからない。大人でも報告書づくりは苦手な人が多いのですから、当然ですよね。
この記事では、おじいちゃん・おばあちゃんがスマホのAIを「質問役」にして、孫の自由研究のまとめを一緒に仕上げる7つのステップを、操作の手順から声かけの言葉まで、ゆっくり紹介します。テーマ探しから知りたい方は、先にこちらの記事(孫の自由研究をAIで手伝う5つの方法)をどうぞ。今回はその続き、「仕上げ」に絞ったお話です。
手伝う前に確認する「3つの約束」
楽しく始める前に、確認だけ先にすませましょう。3つだけです。
約束1:学校のきまりを先に見る
学校によっては、宿題でのAIの使い方に決まりがあります。文部科学省も「生成AI(文章を作るAI)の使い方は学校のルールに従う」ことを前提にした指針を出しています。夏休みのしおりやプリントに書いていないか、親御さん(お子さん夫婦)に一度聞いてもらってください。「AIは使わない」という決まりなら、この記事の方法は使わず、紙と鉛筆で一緒に考えましょう。それも立派な思い出になります。
約束2:アカウントは大人のものを使う
ChatGPTは13歳以上が対象で、18歳未満は保護者の許可が必要と決められています(OpenAI利用規約)。お孫さんに自分のスマホを持たせるのではなく、おじいちゃん・おばあちゃんのスマホで、隣に並んで一緒に画面を見る形がいちばん安心です。
約束3:名前や学校名を入れない
AIに相談するとき、孫の名前・学校名・住所は入れません。「小学3年生の孫」「朝顔の観察をした」のように、状況だけ伝えれば十分に相談できます。
AIが手伝えるのは「整理」と「質問」まで
ここがこの記事でいちばん大事なところです。線引きを表にしました。
| AIに頼んでよいこと ⭕ | AIにさせないこと ❌ |
|---|---|
| まとめの順番(構成)を提案してもらう | まとめの文章を書かせて、そのまま写す |
| 孫に質問をしてもらい、答えを引き出す | 感想を代わりに考えさせる |
| 見出しやタイトルの案を3つ出してもらう | 調べた結果の数字をAIの答えだけで決める |
| 誤字や抜けがないかの見直しを手伝ってもらう | 絵や写真の代わりにAIの画像を使う |
合言葉は「AIは書かない。孫が書く」。AIの文章をそのまま提出すると、先生にはすぐわかりますし、なにより孫本人の力になりません。AIには「編集会議の相手」だけをお願いしましょう。
AIと仕上げる7つのステップ
ステップ1:材料をぜんぶ机に並べる
まずはスマホを置いて、観察メモ・撮った写真・作った物・図書館で借りた本を、ぜんぶ机の上に並べます。「こんなにやったんだね」と口に出して数えるだけで、孫の顔が明るくなります。ここで並べた材料が、次のステップでAIに伝える中身になります。
ステップ2:ChatGPTに「まとめの骨組み」を相談する
スマホでの操作は3つだけです。
- ChatGPTのアプリを開く(まだ入れていない方は、高齢者のためのChatGPT入門で入れ方から説明しています)
- 画面の下にある入力らんのマイクのマークを押す
- 孫と一緒に、やったことを話しかける
文字を打つ必要はありません。話す内容は、あとで紹介する「質問文1」をそのまま読み上げてもかまいません。すると、AIが「①きっかけ ②調べた方法 ③結果 ④わかったこと ⑤感想」のような骨組みを返してくれます。
ステップ3:タイトルと見出しは「AIが3案、選ぶのは孫」
タイトルはAIに3つ案を出してもらい、どれにするか決めるのは孫にします。「自分で選んだ」という気持ちが、最後までやり切る力になります。孫が自分の言葉に直したら、もっとよい印です。
ステップ4:用紙のわりつけを決める
模造紙なら「上にタイトル、左上から右へ、①→⑤の順に区切る」、スケッチブックやノートなら「1ページに1項目」。えんぴつで薄く区切り線を引いてから書き始めると、失敗がぐっと減ります。どの用紙にするか迷ったら、これもAIに「小学3年生の観察記録は模造紙とノートのどちらが向いていますか」と聞いてみてください。
ステップ5:「わかったこと」は質問で引き出す
ここが祖父母の腕の見せどころです。「わかったことを書きなさい」と言われても、子どもは手が止まります。代わりに、AIにインタビュアー役(質問する役)をお願いしましょう。「いちばんびっくりしたことは?」「予想と違ったところは?」とAIが順番に聞いてくれるので、孫が声で答え、その答えをそのまま鉛筆で書けば、それが「わかったこと」と「感想」になります。孫の話し言葉のままでいいんです。それが、いちばん孫らしいまとめです。
ステップ6:写真・絵・表で「見せ場」を作る
文章のあいだに、撮った写真や描いた絵を貼ると、ぐっと見やすくなります。目安は「文章半分、写真と絵が半分」。印刷はコンビニのマルチコピー機でもできますし、写真の下に一言(「7月20日 つぼみがふくらんだ」など)を添えると、観察の記録らしくなります。
ステップ7:提出前の見直しを一緒にする
最後に、誤字・日付の抜け・名前の書き忘れがないかを一緒に確認します。見直しの項目もAIに出してもらえます(質問文5)。全部できたら、うんとほめてあげてください。「じいじ(ばあば)と一緒にやった」という記憶ごと、宿題が思い出になります。
そのまま使える質問文(プロンプト)5選
コピーして、〇〇の部分だけ入れかえて使ってください。声で読み上げてもかまいません。
質問文1(骨組みの相談)
小学〇年生の孫が、夏休みの自由研究で「〇〇」をしました。模造紙にまとめます。どんな順番でまとめるとよいですか。小学生にわかる言葉で、項目を5つ以内で提案してください。
質問文2(タイトルの案)
「〇〇」を調べた小学〇年生の自由研究のタイトルを3つ提案してください。子どもらしい、わくわくする言葉でお願いします。
質問文3(インタビュー役のお願い)
あなたはやさしいインタビュアーです。小学〇年生に「〇〇」の自由研究について、1つずつ順番に質問してください。答えやすい短い質問を5つ、感想を引き出すようにお願いします。
質問文4(見せ方の相談)
「〇〇」の自由研究に、写真が〇枚と絵が〇枚あります。模造紙のどこに、どう並べると見やすくなりますか。小学生ができる工夫を教えてください。
質問文5(提出前の見直し)
小学生の自由研究を提出する前に確認するとよいことを、チェックリストにして7つ以内で教えてください。
「丸投げ」にしないための祖父母の関わり方
AIの答えがどんなに上手でも、主役は孫です。関わり方のコツを3つ。
コツ1:スマホは「2人のあいだ」に置く。祖父母が操作して見せるのではなく、画面を2人で見ながら「どれがいいと思う?」と孫に選ばせます。選ぶたびに、孫の作品になっていきます。
コツ2:AIの答えに「ほんとかな?」を合言葉にする。AIはときどき間違えます。「図鑑でも確かめてみようか」のひとことで、AIとの付き合い方そのものを教えられます。これは学校では教わりにくい、おじいちゃん・おばあちゃんだからこそ渡せる知恵です。
コツ3:ほめるのは結果より途中。「字が上手」より「この質問によく答えたね」「自分で選んだタイトル、いいね」。途中の工夫をほめると、来年の夏も「一緒にやろう」と言ってもらえます。
【要注意】よくある失敗と回避策
失敗1:AIの文章をそのまま清書させる
❌ AIが作った「まとめの文章」を孫にそのまま書き写させる
⭕ AIには骨組みと質問だけ頼み、文章は孫の話した言葉で書く
なぜ大切か:文部科学省の指針でも、AIの成果物をそのまま自分の成果として提出することは不適切とされています。先生が読めば子どもの文章でないことはすぐわかり、孫本人がいちばん困ります。
失敗2:良かれと思って、大人が仕上げてしまう
❌ 時間がないからと、レイアウトも文字も祖父母が書いてしまう
⭕ 区切り線を引くまでは手伝い、書くのは必ず孫の手で
なぜ大切か:自由研究は「上手にできたか」より「自分でやったか」を見る宿題です。多少字が曲がっていても、それが本人の作品である証拠です。
失敗3:孫の名前や学校名を入れて相談する
❌ 「〇〇小学校3年の△△の自由研究です」と入力する
⭕ 「小学3年生の孫の自由研究です」と、状況だけ伝える
なぜ大切か:名前・学校名・住所などは、AIに限らずインターネットのサービスに不用意に入れないのが基本です。状況だけで相談に支障はありません。
失敗4:AIの答えを「出典」にしてしまう
❌ 参考にしたもの:ChatGPT と書く
⭕ AIの答えは図鑑や本で確かめて、確かめた本の名前を書く
なぜ大切か:AIは自信たっぷりに間違えることがあります。「確かめてから書く」は、研究のいちばん大事な作法。これを教えられたら、AIを使った甲斐があったというものです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 学校が「AI禁止」の場合はどうすればいいですか?
A. きまりを最優先にして、AIは使わずに手伝いましょう。この記事のステップ1(材料を並べる)、ステップ5(質問で引き出す)は、AIなしでも祖父母が質問役になればそのまま使えます。きまりがはっきりしないときは、親御さんから学校に確認してもらうのが確実です。
Q2. ChatGPTは無料で使えますか?
A. はい、基本的な機能は無料で使えます。自由研究のまとめの相談程度なら無料版で十分です。最新の料金や機能はOpenAIの公式サイトで確認してください。
Q3. 孫が小学1〜2年生でもできますか?
A. できます。低学年の場合は、AIとのやり取りは祖父母が受け持ち、孫には「質問に声で答える」「書く」「貼る」を担当してもらう分担がおすすめです。質問文に「小学1年生に」と入れると、AIの言葉もぐっとやさしくなります。
Q4. 文字を打つのが苦手です。声だけでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。ChatGPTのアプリは、入力らんのマイクのマークを押せば、話した言葉がそのまま文字になります。この記事の質問文を読み上げるだけでも、きちんと伝わります。
Q5. まとめは模造紙とノート、どちらがいいですか?
A. 学校の指定があればそれに従ってください。指定がなければ、写真や絵が多いなら一覧できる模造紙、文章が多いならページをめくるノートやスケッチブックが向いています。迷ったらAIに「〇〇の研究はどちらが向いていますか」と相談してみましょう。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること:質問文1をコピーして、お孫さんの学年と研究テーマを入れてChatGPTに相談してみる
- 孫に会う日まで:この記事の「3つの約束」を親御さんと共有して、学校のきまりを確認しておいてもらう
- まとめ当日:スマホを2人のあいだに置いて、ステップ1の「材料ならべ」から始める
自由研究のまとめは、孫の夏の総仕上げです。AIに書かせるのではなく、AIに聞いてもらいながら、孫の言葉で仕上げる。その隣にいてあげられるのは、時間と経験のあるおじいちゃん・おばあちゃんの特権です。よい夏の思い出になりますように。
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参考・出典
- 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用について」
- 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(PDF)
- OpenAI「利用規約」(最低年齢・保護者の許可について)
著者プロフィール
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。X(旧Twitter、@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を手がけ、シニア世代への「家族で始めるAI」の普及に取り組む。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。