この記事の要点
石油ファンヒーターがつかないときは、まず「去年の灯油を使っていないか」「給油タンクの入れ方」「ほこり」の3つを確かめます。消費者庁は、使い始める前の5つのチェックポイントの1つに「燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わない」を挙げています(消費者庁「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦」(2023年10月26日))。
- 去年の灯油は使いません。 コロナによると、持ち越した灯油は「薄黄色になっている」「すっぱい臭いがする」ことがあり、火がつきにくい・つかない原因になります(コロナ「石油ファンヒーター・石油ストーブ|重要なお知らせ」)。
- 自分で確かめるのは、灯油・タンク・フィルター・置き場所までです。 分解はしません。確かめても直らないときは、使うのをやめて、販売店かメーカーに修理を頼みます。
- 使い始めの季節は事故が増えます。 消費者庁によると、石油ストーブや石油ファンヒーターの事故は、シーズン初めの毎年11月頃から多く発生しています。2018年度から2022年度の5年間の事故269件のうち、70歳以上の方が被害にあった事故は131件でした(消費者庁(2023年10月26日))。
この記事は、2026年10月1日時点で確認した、消費者庁と暖房機器メーカー(コロナ・ダイニチ工業)の公式の案内をもとにまとめています。お使いの機種の細かい操作は、その機種の取扱説明書がいちばんの手がかりです。
今日やること3つ
今日やることは、次の3つです。
- タンクの灯油の色とにおいを見る
- 本体の背面のほこりを取り、カーテンとの間をあける
- 本体の型番と、画面に出た表示をメモする
まず見分ける3つの症状|つかない・途中で消える・表示が出る
ひとくちに「つかない」と言っても、いくつかの形があります。どれに近いかで、見る場所が変わります。

火がまったくつかない
点火の操作をしても火がつかないときは、灯油とタンクを先に疑います。コロナは、変質した灯油を使うと「点火の時、火がつきにくい。あるいは、火がつかない」ことがあると案内しています(コロナ)。この場合は、下の「手順1〜3」から進めます。
ついても途中で消える
しばらく燃えてから消えるときは、ほこりや置き場所も関係します。ダイニチ工業の案内では、エラー表示「E09」は「本体内部が熱いと判断し安全装置が働いて停止」した状態です。背面のフィルターのほこりや、カーテンなどで背面がふさがれていないかを確かめるよう書かれています(ダイニチ工業「E09」の案内)。この場合は「手順4〜5」を見てください。
3時間たつと消えるのは故障ではない
運転を始めて3時間で消えるときは、「3時間自動消火機能」がはたらいた可能性があります。コロナのよくある質問では、この機能は「JIS規格で定められて」いて、解除はできないと答えています(コロナ「ファンヒーター|よくあるご質問」)。決められた機能がはたらいただけなら、故障ではありません。
画面に表示が出る
画面に「E」で始まる記号や数字が出ているときは、まずその表示をメモします。表示の意味はメーカーや機種で違います。「手順6〜7」と「エラー表示の例」で、調べ方を説明します。
手順1〜3|灯油とタンクを確かめる
火がつかないときに、最初に見るのは灯油と給油タンクです。どれも本体を開けずに確かめられます。

手順1|去年の灯油を使っていないか確かめる
去年の冬に買って残った灯油を、そのまま使っていないかを確かめます。消費者庁は「燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わない」としています。
コロナは、変質灯油(持ち越した灯油など)と不純灯油(汚れた灯油、水の混じった灯油など)を使わないよう案内しています。見分ける目安は次の2つです(コロナ)。
- 薄黄色になっている
- すっぱい臭いがする
こうした灯油を使うと、火がつきにくい、あるいはつかないほか、「正常に燃焼せず、臭いがきつく目にしみたりする」ことがあるとされています。ダイニチ工業も、着火ミスの表示「E02」が出たときの確認として「不良灯油を使用している場合は新しい灯油に入れ替える」と書いています(ダイニチ工業「E02」の案内)。
残った古い灯油の扱いは、灯油を買ったお店や、お住まいの自治体の案内で確かめてください。
手順2|給油は火を消してから。ガソリンと取り違えない
給油をするときは、必ず火を消してからにします。コロナは「給油は必ず消火し、火が消えたことを確かめてからおこなってください」と案内しています。また「ガソリンなど揮発性の高い油は、絶対に使用しないでください。火災の原因になります」とも書いています(コロナ)。
消費者庁のまとめでは、使う人の誤りや不注意で起きた事故115件のうち、「ガソリンの誤給油により出火」した事故が28件ありました。消費者庁は、ガソリンの誤給油を防ぐための対策を徹底するよう呼びかけています。草刈り機などのためにガソリンを置いている家では、灯油の容器と取り違えないよう、置き場所を分けておくと安心です。
手順3|給油タンクの向きと、ふたを確かめる
給油したのに「給油サイン」が消えないときは、タンクの入れ方を見直します。コロナのよくある質問では、給油タンクが逆さまに入っていないかを確かめ、「給油タンクの給油口を下にして入れなおしてください」と答えています(コロナ)。
タンクのふた(口金)も大事です。コロナは、給油口・口金を下にして、油もれがないことをその場で確かめるよう案内しています。消費者庁も、5つのチェックポイントの1つに「カートリッジタンクの給油口蓋が確実に閉まっていること、漏れがないことを確認する」を挙げています。上で紹介した115件のうち、「給油口蓋の閉め忘れ及び締め付け不良などにより漏れた灯油に引火」した事故は33件でした。消費者庁は、事故の多い「給油口からの灯油漏れ」「ガソリンの誤給油」「可燃物の接触」の3つは、大きな火災に至るおそれがあるため特に注意が必要としています。
ダイニチ工業の機種では、「カートリッジタンクや油フィルターの入れ間違いがないか」も確認項目です。正しいタンクかどうかは、タンクを入れるときに開けるフタの裏側に書いてある口金の色で確かめるよう書かれています。
手順4〜5|フィルターと置き場所を確かめる
灯油とタンクに問題がないのに、つかない・途中で消えるときは、フィルターと置き場所を見ます。掃除のしかたは機種で違うので、取扱説明書の手順どおりに進めてください。

手順4|油フィルターと油受皿のごみや水を取り除く
ダイニチ工業は、着火ミスの表示「E02」が出たときの確認として、「油フィルター、油受皿内にごみや水がたまっている場合は取り除く」と案内しています(ダイニチ工業「E02」の案内)。
油フィルターや油受皿の場所は、機種によって違います。取扱説明書の「お手入れ」のページで場所を確かめてから作業します。作業の前には、運転を止めて、電源プラグを抜いておきます。
手順5|背面のほこりと、カーテンとの間を確かめる
ダイニチ工業は、表示「E09」が出て消えたときの確認として、次の2つを挙げています(ダイニチ工業「E09」の案内)。
- 機器背面のファンフィルターもしくはファンカバーに、ほこりが付いていれば掃除する
- 機器の背面が、カーテンなどでふさがれていないか確かめる
消費者庁の5つのチェックポイントにも、「ほこりがたまっていれば取り除く」と「機器と周囲の壁や可燃物との十分な距離が確保できていることを確認する」が入っています。コロナも、カーテンや燃えやすいもののそば、ほこりの多い場所などでは使わないよう案内しています。
消費者庁のまとめでは、「可燃物が放射熱で過熱又は接触して出火」した事故が25件、「掃除不足による異常燃焼や堆積物への引火」が14件ありました。洗濯物を近くに干していないかも、あわせて見ておきます。
手順6〜7|表示をメモして、相談先を決める
ここまで確かめても直らないときは、自分で直そうとせず、相談に進みます。その前に、伝えることをメモにまとめておきます。

手順6|型番と表示をメモする
次の4つを紙に書いておくと、販売店やメーカーの窓口で話が早くなります。
- 本体の型番(本体のラベルや取扱説明書で確かめます)
- 画面に出た表示(例:E02)
- いつ、どんな操作をしたときに起きたか
- 灯油をいつ買ったか
型番のラベルが読みにくいときは、スマホのカメラで撮っておくと、家族にもそのまま送れます。コロナの機種は、メーカーのコロナ「石油ファンヒーター|エラーサイン一覧」で表示を調べられます。
手順7|直らなければ使うのをやめて、修理を頼む
ダイニチ工業の案内には、確認項目のあとに「以上を確認しても改善しない場合は修理が必要」と書かれています。コロナのよくある質問でも、エラー表示について「運転を停止して電源プラグを抜いた後、お買いあげの販売店またはコロナサービスセンターに修理をご依頼ください」と答えている項目があります(コロナ)。
以上を確認しても改善しないときは、使うのをやめて、電源プラグを抜きます。そのうえで、買ったお店(販売店)か、メーカーの修理窓口に相談します。本体のカバーを外す、部品を外すといった作業はしません。
エラー表示の例|ダイニチの「E02」と「E09」
エラー表示の番号は、メーカーごとに意味が違います。ここでは、公式サイトで確認できたダイニチ工業の2つの例を紹介します。
「E02」は着火ミス(点火安全装置が作動)
ダイニチ工業のページの題名は「エラー表示『E02』で着火ミスし停止した(点火安全装置が作動)」です。家庭用の石油ファンヒーターで確かめることとして、次の項目が書かれています(ダイニチ工業)。
- 油フィルター、油受皿内のごみや水を取り除く
- カートリッジタンクや油フィルターの入れ間違いがないか確かめる
- 不良灯油なら、新しい灯油に入れ替える
「E09」は本体内部が熱くなって停止(過熱防止装置が作動)
ダイニチ工業のページでは、「E09」と、ほこりサイン・フィルターサインの点灯をまとめて説明しています。原因は「本体内部が熱いと判断し安全装置が働いて停止しています」と説明しています(ダイニチ工業)。確かめることは、背面のファンフィルターやファンカバーのほこりと、背面がカーテンなどでふさがれていないかの2つです。
番号の意味はメーカーごとに違う
同じ「E02」でも、メーカーが違えば意味が違うことがあります。コロナの機種はコロナのエラーサイン一覧で、それ以外のメーカーは取扱説明書かメーカーのサポートページで確かめてください。番号の意味を、ほかのメーカーの説明やうわさ話で決めつけないことが大切です。
使い始める前の5つのチェック|消費者庁の案内
消費者庁は2023年10月26日に、シーズン初めに石油ストーブや石油ファンヒーターを使う前の確認をまとめました(消費者庁「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦」)。今年はじめて火をつける前に、この5つを確かめます。

5つのチェックポイント
- ほこりがたまっていれば取り除く
- 対震自動消火装置が正しく作動することを確認する(石油ストーブの場合は、燃焼筒が正しく取り付けられていることも確認する)
- 燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わない。ガソリンの誤給油を防ぐための対策を徹底する
- カートリッジタンクの給油口蓋が確実に閉まっていること、漏れがないことを確認する
- 機器と周囲の壁や可燃物との十分な距離が確保できていることを確認する
対震自動消火装置の確かめ方は、お使いの機種の取扱説明書で確認してください。
事故が多い場面
消費者庁のまとめでは、2018年度から2022年度の5年間に、石油ストーブや石油ファンヒーターの事故が269件ありました。調査が終わった233件のうち、115件(49%)が誤った使い方や不注意による事故で、原因別でいちばん多くなっています。
その115件で多かったのは、次のような場面です。
- 給油口のふたの閉め忘れなどで漏れた灯油に引火(33件)
- ガソリンを入れてしまい出火(28件)
- 燃えやすいものが熱くなる、または触れて出火(25件)
- 掃除不足による異常燃焼や、たまったものへの引火(14件)
長年使い慣れていても、もう一度確かめる
消費者庁によると、70歳以上の方が被害にあった事故は131件でした。死亡事故47件のうち31件が、この年代です。消費者庁は「長年使い慣れていても、今一度、正しい使い方を確認しましょう」と呼びかけています。
使っている間は換気をする
コロナは、使用中は「必ず1時間に1~2回(1~2分)換気をして、新鮮な空気を補給してください」と案内しています(コロナ)。窓を少し開けるなど、時間を決めておくと忘れにくくなります。
AIに手伝ってもらう|メモと問い合わせ文
AI(人工知能)と文字で会話できるChatGPTなどのアプリは、メモの整理や、問い合わせの文の下書きに使えます。一方で、機器の安全にかかわる判断は、メーカーの案内で確かめる必要があります。役割を分けて使います。
AIに任せてよいこと
- 手順6で書いたメモを、窓口に伝える順番に並べてもらう
- 取扱説明書の「故障かな?と思ったら」のページの文を写して入力し、いまの症状に当てはまる項目だけを抜き出してもらう
- 離れて暮らす親に電話で確かめることを、質問の形にしてもらう
そのまま使える相談文
「○○」のところを、ご自分の内容に書きかえて使います。
石油ファンヒーターがつきません。次のメモを、販売店に電話で伝える順番に並べてください。型番:○○、画面の表示:○○、起きたとき:○○、灯油を買った時期:○○
取扱説明書の「故障かな?と思ったら」のページを下に書き写します。いまの症状「○○」に当てはまる確認項目だけを、箇条書きにしてください。説明書に書いていないことは足さないでください。
離れて暮らす70代の母に、石油ファンヒーターを使い始める前の確認を電話で伝えます。下に貼る5つのチェックポイントを、母にわかるやさしい言葉で、1つずつ質問の形にしてください。
メーカーの修理受付に送るメールの下書きを作ってください。型番は○○、表示は○○、確かめたことは「灯油を新しくした」「背面のほこりを取った」です。ていねいな言葉で、200字くらいにしてください。
AIに任せてはいけないこと
- エラー表示の意味を、AIの答えだけで決めない。 番号の意味は機種で違います。メーカーの一覧か取扱説明書で確かめます。
- 分解や部品の外し方を、AIに聞いてそのとおりにしない。 直らないときは修理を頼みます。
- 燃料の扱いを、AIの答えで決めない。 灯油の入れ替えや古い灯油の扱いは、メーカーや販売店、自治体の案内に従います。
離れて暮らす家族ができること
消費者庁は、高齢の方の事故を防ぐために「御家族や周囲の方は機器の状態と使い方の確認等の見守りをお願いします」と呼びかけています。離れて暮らしていても、電話や帰省のときにできることがあります。
電話で確かめること
- 「灯油は、今年買ったもの?」
- 「ヒーターの後ろに、カーテンや洗濯物が近くない?」
- 「給油のときは、火を消してからにしている?」
問い詰めるような言い方にならないよう、「消費者庁が、使い始める前に確かめてと言っているよ」と、理由を添えて聞くのも一つの方法です。
帰省したときにやること
- 背面のほこりを、一緒に取る
- 型番のラベルをスマホで撮り、家族で共有する
- 取扱説明書の置き場所を決めておく
よくある質問
Q. 去年の灯油は使えますか?
A. 使わないでください。消費者庁は「昨シーズンの灯油は使わない」としています。コロナも、持ち越した灯油などの変質灯油は火がつきにくい・つかない原因になると案内しています。
Q. 運転して3時間たつと火が消えます。故障ですか?
A. 「3時間自動消火機能」がはたらいた可能性があります。コロナのよくある質問では、この機能はJIS規格で定められていて、解除はできないと答えています。
Q. 給油したのに、給油サインが消えません。
A. 給油タンクが逆さまに入っていないかを確かめます。コロナは、給油タンクの給油口を下にして入れなおすよう案内しています。
Q. エラー表示が出ました。電源を入れ直して使い続けてもいいですか?
A. まず表示の番号を、メーカーの一覧か取扱説明書で確かめ、書かれている確認をします。ダイニチ工業の案内では、確認しても改善しない場合は修理が必要とされています。直らないときは使うのをやめ、販売店かメーカーに相談してください。
Q. 使っている間の換気は、どのくらい必要ですか?
A. コロナは、使用中は1時間に1~2回(1~2分)換気するよう案内しています。
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参考・出典
- 消費者庁「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦~5つのポイントで火災事故を防ごう!~」(2023年10月26日)
- 株式会社コロナ「石油ファンヒーター・石油ストーブ|重要なお知らせ」(2026年10月1日確認)
- 株式会社コロナ「ファンヒーター|よくあるご質問」(2026年10月1日確認)
- 株式会社コロナ「石油ファンヒーター|エラーサイン一覧」(2026年10月1日確認)
- ダイニチ工業「エラー表示『E02』で着火ミスし停止した(点火安全装置が作動)」(2026年10月1日確認)
- ダイニチ工業「エラー表示『E09』・ほこりサイン・フィルターサインが点灯し自動消火した(過熱防止装置が作動)」(2026年10月1日確認)