シニア向け解説

【2026年10月】未支給年金とは|受け取れる家族と請求7手順

約13分で読めます
【2026年10月】未支給年金とは|受け取れる家族と請求7手順

この記事の要点

未支給年金(みしきゅうねんきん)とは、年金を受けていた方が亡くなったときに、まだ受け取っていない「亡くなった月分まで」の年金を、生計を同じくしていた家族が請求して受け取るお金です。請求の書類を出さないと受け取れません。

  • 対象になる年金:日本年金機構は、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金を未支給年金として案内しています(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。
  • 受け取れる家族には順番があります。 配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族の順です。亡くなった当時に生計を同じくしていたことが条件です。
  • 書類は1枚にまとまっています。 「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を出すと、死亡の手続きと未支給年金の請求をいっしょにできます。
  • 「死亡届はいらない」と言われても、請求は必要です。 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方の死亡届は原則不要ですが、未支給年金の届出などは必要です(日本年金機構 年金Q&A「年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。」)。
  • 税金は相続税ではありません。 国税庁は、未支給年金は受け取った遺族の一時所得にあたると説明しています(国税庁「No.1605 遺族の方に支給される公的年金等」)。

2026年10月1日時点の状況:日本年金機構の案内ページ(2026年4月1日更新)では、出し方は「年金事務所への郵送」「予約しての窓口」「e-Govの電子申請」の3通りです。

この記事の対象:年金を受けていたご家族を亡くされた60代〜80代の方と、手続きを手伝う30代〜50代のご家族です。

今日やること:①亡くなった方の年金証書を探す ②受け取る順番がだれになるかを家族で確かめる ③同じ住所に住んでいたかどうかを確かめる。この3つで、集める書類が決まります。

なお、この記事は日本年金機構と国税庁の公開情報をもとに、しくみと進め方をやさしく説明したものです。個別の事情の判断は、ねんきんダイヤルや年金事務所でご確認ください。

未支給年金とは|亡くなった月分までの年金を家族が受け取るしくみ

年金は「亡くなった月分まで」支払われる

日本年金機構は「年金は亡くなった月分まで支払われます」と案内しています(日本年金機構「年金受給権者死亡届(報告書) 兼 未支給年金・未支払給付金請求書」のご提出について)。

まだ受け取っていない年金と、亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までが未支給年金になり、生計を同じくしていた家族が請求して受け取ることを示した図
図解1|未支給年金になる年金と、受け取る人

ところが、亡くなった方ご本人は、その年金をもう受け取ることができません。そこで、生計を同じくしていた家族が代わりに請求して受け取ります。これが未支給年金です。だれかが請求しない限り、そのままになってしまいます。

亡くなった日のあとに振り込まれた分も対象

対象になるのは、まだ受け取っていない年金だけではありません。亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金も含まれます(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。

ここで気をつけたいのが、亡くなった方の口座です。日本年金機構は、未支給年金の請求をした場合でも、亡くなった方の口座を解約していないと入金される場合があるとして、口座の解約などは金融機関に相談するよう案内しています。「口座に入っているから、そのまま使えばいい」と考えず、請求の手続きとあわせて金融機関にも相談しましょう。

遺族年金とは別のもの

未支給年金は、遺族年金とは別のお金です。日本年金機構は、亡くなった方に一定の条件が当てはまる遺族がいる場合は遺族年金などを受け取れることがあるとして、遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金・死亡一時金を「そのほかの遺族給付」として案内しています。

未支給年金の請求とは別に、こちらも当てはまるかどうかを年金事務所で確かめておくと安心です。

受け取れる家族と順番|「生計を同じく」が条件

順番は配偶者から7つ

受け取れるのは、年金を受けていた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた家族です。順番は次のとおりです(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。

未支給年金を受け取れる順番を、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他3親等内の親族の7段の階段で示し、先の順番の人がいれば後の人は受け取れないことを添えた図
図解2|未支給年金を受け取れる家族の順番
  1. 配偶者
  2. 子
  3. 父母
  4. 孫
  5. 祖父母
  6. 兄弟姉妹
  7. その他3親等内の親族(1〜6以外)

先の順番の人がいれば、後の人は受け取れない

先の順番の人がいる場合、後の順番の人は受け取ることができません。たとえば、亡くなった方と生計を同じくしていた配偶者がいれば、子は請求できません。

同じ順番の人が2人以上いる場合は、そのうち1人が代表して請求します。子が3人いるからといって、3人がそれぞれ書類を出す必要はありません。

「生計を同じくしていた」の確かめ方

いちばん大事な条件は「生計を同じくしていた」かどうかです。同じ住所に住んでいたなら、住民票で確かめられます。

別の住所に住んでいた場合は、「生計同一関係に関する申立書」を出して、生計を同じくしていたことを説明します(日本年金機構「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」)。このページでは「生計同一関係証明書類(事実確認書類)の提出もしくは第三者による証明が必要です」とされています。年金Q&Aでも、住所が同じでない場合は、第三者(民法上の三親等内の親族以外の方)の証明を受けた書類も出すよう案内されています(日本年金機構 年金Q&A「年金受給者が亡くなりましたが、まだ受け取っていない年金があります。どうすればいいですか。」)。

なお、生計を同じくしていた家族がだれもいない場合や、未払いの年金が発生しない場合は、請求書ではなく「年金受給権者死亡届(報告書)」を出します。

手順1〜3|書類を集める前に確かめること

手順1|亡くなった方の年金証書を探す

最初に探すのは、亡くなった方の年金証書です。請求書には、年金証書に書かれている基礎年金番号と年金コード、生年月日、死亡年月日などを書きます(年金Q&A)。年金証書そのものも、添付書類の1つです。

年金証書を探し、受け取る人と順番を決めたあと、同じ住所なら住民票の除票と世帯全員の住民票の写し、別の住所なら生計同一関係に関する申立書と、生計同一関係証明書類または第三者による証明が加わることを示した図
図解3|同じ住所か別の住所かで変わる書類(別の住所は、証明書類か第三者による証明のどちらか)

見つからないときは、あわてずに、見つからないことを年金事務所に伝えて相談しましょう。

手順2|受け取る人と順番を決める

前の章の順番にそって、だれが請求するかを決めます。配偶者がいれば配偶者、いなければ子、という順番です。子が2人以上なら、代表の1人を決めます。

このとき、家族で話し合っておくとあとが楽になります。請求書には、請求する人が受け取りを希望する口座を書きます。受け取ったお金を家族の中でどう扱うかも、先に決めておくと安心です。

手順3|同じ住所か、別の住所かを確かめる

亡くなった方と請求する方が、同じ住所だったか、別の住所だったかで、集める書類が変わります。

  • 同じ住所:亡くなった方の住民票の除票と、請求する方の世帯全員の住民票の写し
  • 別の住所:上の2つに加えて、生計同一関係に関する申立書

申立書は、配偶者または子が請求するときは【様式3】、配偶者・子以外が請求するときは【様式4】を使います。日本年金機構のページには、どちらにも記入例があります。

事実婚の配偶者が請求する場合は、【様式7】の申立書と、戸籍上の配偶者の有無がわかる書類が必要です。婚姻の意思については、原則として第三者による証明が必要とされています。

手順4〜5|請求書と添付書類をそろえる

手順4|請求書を手に入れる

使う書類は「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」です。日本年金機構のページからPDFで取り出せ、3ページ目に記入例があります(日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」)。同じページから、厚生労働省のYouTubeチャンネルにある記入方法の動画にも進めます。

なお、障害基礎年金・遺族基礎年金だけを受けていた方が亡くなった場合は、請求先が市区町村役場になり、用紙も市区町村の国民年金の窓口にあります(年金Q&A)。

手順5|添付書類を集める

日本年金機構が挙げている添付書類は、次のとおりです(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。

書類 中身の例 省略できる場合
亡くなった方の年金証書 年金証書 なし
請求する方のマイナンバーの確認書類 マイナンバーカード、または番号がわかる書類と運転免許証などの身元確認書類 なし
続柄がわかる書類 戸籍謄(抄)本、または法定相続情報一覧図の写し 請求する方が配偶者(または遺族年金を請求する子)で、マイナンバーを記入した場合
生計を同じくしていたことがわかる書類 亡くなった方の住民票の除票、請求する方の世帯全員の住民票の写し(別の住所なら申立書も) 除票は、亡くなった方のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合など。世帯全員の住民票の写しは、マイナンバーを記入した場合
受け取る口座がわかる書類 通帳などの写し 公金受取口座を使う場合、または請求書に金融機関の証明を受けた場合

集めるときに気をつけること

戸籍謄本・住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。手元にある古い住民票は使えません。

マイナンバーの確認書類は、郵送するときは両面のコピーを付け、窓口に出すときは原本を見せます。

亡くなった方の名義の家や土地がある場合は、年金とは別に、名義を書き換える「相続登記」にも期限があります。くわしくは相続登記の期限をまとめた記事をご覧ください。

手順6〜7|出し方を選んで、入金を確かめる

手順6|郵送・窓口・電子申請から選ぶ

日本年金機構の案内では、出し方は3通りです(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。

請求書の出し方として、年金事務所に郵送、予約して窓口へ(街角の年金相談センターも可)、e-Govの電子申請(PDFかJPEGで添付)の3通りがあり、すみやかに出すことを示した図
図解4|請求書の出し方は3通り
  • 郵送:年金事務所に郵送で出します。
  • 窓口:対面での相談を希望する場合は、予約して窓口へ行きます。行き先は年金事務所か、街角の年金相談センター(オフィス)です。
  • 電子申請:e-Govの電子申請で出せます。「電子申請用送付書(一時金請求及び諸変更届等)」を検索し、届書名称のプルダウンから請求書を選びます。請求書はPDFかJPEGで保存して添付します。

書き方に自信がないときは、予約して窓口へ行き、相談しながら出すのが確実です。

手順7|口座と入金を確かめる

出したあとに確かめたいのは、亡くなった方の口座の扱いです。前の章で書いたとおり、口座を解約していないと入金される場合があります。

また、死亡の届け出が遅れて、亡くなった日の翌日以後に年金を受け取ったときは、その分を後日返すことになります(年金Q&A)。日本年金機構は、年金を受けている方が亡くなったときは「すみやかにご提出ください」と案内しています。

振り込みまでの日数は、日本年金機構の案内ページには書かれていません(2026年10月1日確認)。気になるときは、ねんきんダイヤルか年金事務所で確かめましょう。

税金の扱い|相続税ではなく一時所得

相続税の課税対象にはならない

国税庁は、未支給年金を請求する権利は、遺族が「自己の固有の権利として請求するもの」であり、亡くなった方の相続税の課税対象にはならないと説明しています(国税庁 質疑応答事例「未支給の国民年金に係る相続税の課税関係」)。理由として、平成7年11月7日の最高裁判決で、その相続性が否定されていることが挙げられています。

未支給年金は相続税の課税対象にはならず、自己の固有の権利として受け取った遺族の一時所得になり、合計額が50万円以下なら確定申告は不要であることを示した図
図解5|未支給年金は相続税ではなく一時所得

受け取った遺族の一時所得になる

その代わり、受け取った未支給年金は、受け取った遺族の一時所得にあたります(国税庁「No.1605 遺族の方に支給される公的年金等」)。

日本年金機構は「支給金を受け取る年分において、その支給金を含む一時所得の金額の合計額が50万円以下である場合には、確定申告は不要です」としています(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。つまり、その年の一時所得の金額の合計額が50万円以下なら確定申告は不要、ということです。ほかにも一時所得にあたるお金を受け取った年は、最寄りの税務署に相談すると安心です。確定申告そのものの準備は、シニアの確定申告の記事も参考にしてください。

間違えやすい4つの場面

「死亡届はいらない」と聞いて、請求まで忘れる

❌ 「マイナンバーがあるので死亡届はいりません」と聞き、年金の手続きは全部終わったと思い込む

⭕ 死亡届が原則不要でも、未支給年金の届出などは必要です。受け取れる家族がいるなら、請求書は出します。

亡くなる前にとった住民票を使う

❌ 手元にある以前の住民票や戸籍を、そのまま付ける

⭕ 戸籍謄本・住民票は、亡くなった日より後に交付されたものをとり直します。

兄弟で別々に請求しようとする

❌ 子が3人いるので、3人がそれぞれ請求書を出す

⭕ 同じ順番の人が2人以上いるときは、1人が代表して請求します。

亡くなった方の口座をそのままにする

❌ 年金が振り込まれる口座を、そのままにしておく

⭕ 口座を解約していないと入金される場合があるため、金融機関に相談しておきます。

家族で準備しておくことと、AIの使い方

年金証書の置き場所を家族に伝えておく

手順1で探す年金証書は、亡くなったあとの手続きで必ず必要になります。元気なうちに、年金証書・年金の通知書・通帳を置いている場所を、家族に伝えておきましょう。エンディングノートに書いておく方法は、終活×AI活用術の記事で紹介しています。

書類のチェックリストをAIに整理してもらう

ChatGPT(チャットジーピーティー)などのAI(人工知能)は、書類の名前を並べ替えて「わが家の場合のチェックリスト」にする作業が得意です。たとえば、次のように頼みます。

父が亡くなり、未支給年金を請求します。私は子で、父とは別の住所に住んでいました。日本年金機構の案内にある添付書類を、集める順番にチェックリストにしてください。わからない点は「年金事務所に確認」と書いてください。

窓口に行く前の準備にも使えます。

年金事務所に未支給年金の相談を予約しました。窓口で聞き忘れないように、確認したいことを5つの質問にまとめてください。振り込みまでの目安、亡くなった方の口座の扱い、書類が足りないときの対応は必ず入れてください。

書類の言葉がむずかしいときは、言い換えも頼めます。

「生計同一関係に関する申立書」「住民票の除票」「法定相続情報一覧図」という言葉を、それぞれ2行以内で、やさしい日本語に言い換えてください。

AIの答えは、必ず日本年金機構のページと照らし合わせてください。AIは制度の変更を知らないことがあります。

AIに入力しないもの

マイナンバー、基礎年金番号、年金コード、口座番号、住所、名前は、AIに入力しないでください。「父」「A市」のように置き換えれば、チェックリスト作りには十分です。

よくある質問

Q. 未支給年金はいくらもらえますか。
A. 金額は人によって違います。対象は、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金です。くわしい金額は年金事務所でご確認ください。

Q. 別の家に住んでいた子どもでも受け取れますか。
A. 亡くなった当時に生計を同じくしていたことが条件です。別の住所の場合は「生計同一関係に関する申立書」を出し、生計同一関係証明書類の提出か第三者による証明が必要です。また、先の順番の配偶者がいる場合は、子は受け取れません。

Q. 未支給年金は相続財産になりますか。相続放棄をしていても受け取れますか。
A. 国税庁は、未支給年金は遺族が自己の固有の権利として請求するもので、相続税の課税対象にはならないと説明しています。相続放棄との関係は個別の判断になるため、年金事務所や専門家にご確認ください。

Q. マイナンバーがあれば、何も出さなくていいですか。
A. 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方の死亡届は原則不要です。ただし、未支給年金の届出などは必要です。

Q. 死亡届が必要な場合、期限はありますか。
A. 日本年金機構の年金Q&Aでは、死亡届が必要な場合は10日(国民年金は14日)以内に出すよう案内しています。

Q. インターネットで請求できますか。
A. e-Govの電子申請で出せます。請求書をPDFかJPEGで保存して添付する必要があります。

Q. 確定申告は必要ですか。
A. 未支給年金は受け取った方の一時所得です。日本年金機構は、その年の一時所得の金額の合計額が50万円以下なら確定申告は不要としています。それ以外の場合は、最寄りの税務署にご相談ください。

あわせて読みたい

参考・出典

(この記事の内容は2026年10月1日時点の公表情報に基づいています。制度や書類は変わることがありますので、手続きの前に上記の公式ページで最新の内容をご確認ください。)

家族・法人向けのAI活用も確認できます

シニア向けAI活用を家族や地域で広げる場合は、Uravationの生成AI研修・導入支援や、法人向けAI活用記事もあわせて確認してください。