結論から言います。 65歳以上の介護保険料は、お住まいの市区町村ごとに違います。厚生労働省の資料では、令和6年度から令和8年度(第9期)の基準額は全国平均で月6,225円。いちばん低いところは月3,374円、いちばん高いところは月9,249円で、約2.7倍の差があります。そして10月・12月・2月の年金から引かれる額は、4月・6月・8月の額と変わるのがふつうです。
- 要点1|保険料は市区町村が3年ごとに決めます。全国平均は月6,225円(厚生労働省・第9期=令和6年度から令和8年度)。同じ年金額でも、住んでいる場所で額が違います。
- 要点2|10月に天引きの額が変わるのは、間違いではありません。 4月・6月・8月は前年度と同じ額を仮に引いておき(仮徴収)、10月・12月・2月で今年の正しい額に調整する(本徴収)しくみだからです。毎年この時期に切り替わります。
- 要点3|年金が年額18万円以上の方は年金から自動で引かれます(特別徴収)。18万円未満の方や、年度の途中で65歳になった方・引っ越してきた方には、市区町村から納付書が届きます(普通徴収)。
この記事が役に立つ方|10月の年金の振込額が8月と違って戸惑っている方/65歳になって初めて介護保険料の納付書が届いた方/離れて暮らす親の郵便物や通帳を電話で確認しているご家族。
今日やること|①市区町村から届いた「介護保険料決定通知書」を探す ②そこに書いてある「年間保険料額」と「10月・12月・2月」の欄を見る ③8月に引かれた額と見比べる。ここまでで、あわてる必要があるかどうかが分かります。
年金の通知や役所からの封筒は、どれも似た見た目で届きます。中でも介護保険料は、自分で申し込んだ覚えがないのに毎回引かれていくため、いちばん「よく分からないまま」になりやすいお金です。
そして毎年秋になると、「10月の年金が8月と違う」「介護保険料が急に上がった」という戸惑いが出てきます。実はこれ、多くの場合は手続きのしくみによるもので、間違いでも不正でもありません。順番に見ていきましょう。
1. まず結論|介護保険料は「お住まいの市区町村」で決まります
65歳以上の方は、介護保険の第1号被保険者です。厚生労働省の資料では、介護保険の加入者は「65歳以上の者(第1号被保険者)」と「40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)」に分かれ、第1号被保険者の保険料負担は「市町村が徴収(原則、年金から天引き)」と書かれています。
つまり、保険料を決めているのは国ではなく、お住まいの市区町村です。市区町村は3年ごとに介護保険事業計画をつくり、その計画に合わせて保険料の基準額を決めます。いまは第9期(令和6年度から令和8年度)にあたり、2026年度(令和8年度)は第9期の3年目です。
厚生労働省がまとめた第9期の基準額は、次のとおりです。
| 第8期(令和3年度から令和5年度) | 第9期(令和6年度から令和8年度) | |
|---|---|---|
| 全国平均の基準額(月額) | 6,014円 | 6,225円 |
| 第8期からの伸び率 | — | 3.5% |
| 集計した保険者の数 | — | 全国1,573保険者 |
住んでいる場所による差も、かなりあります。
| 市区町村(保険者) | 第9期の基準額(月額) | |
|---|---|---|
| いちばん低い | 東京都 小笠原村 | 3,374円 |
| いちばん高い | 大阪府 大阪市 | 9,249円 |
同じ年金額でも、住んでいる市区町村によって月々の負担がここまで違います。都道府県ごとの平均で見ると、次のような並びです。
| 都道府県 | 第9期の基準額(月額・県内平均) |
|---|---|
| 全国 | 6,225円 |
| 北海道 | 5,738円 |
| 東京都 | 6,320円 |
| 愛知県 | 5,957円 |
| 大阪府 | 7,486円 |
| 福岡県 | 6,295円 |
| 沖縄県 | 6,955円 |
「いくらですか」に一言で答えられないのは、こういう理由です。 全国平均は月6,225円ですが、実際の額はお住まいの市区町村の基準額と、あなたの所得段階(あとで説明します)で決まります。
なお、基準額は3年間の計画で決めるため、令和6年度・令和7年度・令和8年度を同じ額としている市区町村が多くあります。次の見直しは第10期(令和9年度から)です。2026年9月の時点では、まだ各市区町村が検討している段階で、公表された額はありません。
介護保険そのものの使い方(住まいの改修などで使える給付)については、バリアフリーリフォームと介護保険・補助金の相談7ステップでも触れています。
2. なぜ10月に天引きの額が変わるのか|仮徴収と本徴収
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
まず前提として、年金は年6回・偶数月の15日に支払われます(15日が土日または祝日のときは直前の平日)。各支払月には、原則としてその前月までの2カ月分の年金が支払われます。2026年10月15日は木曜日なので、この日に振り込まれます。
介護保険料も、この年金の支払月に合わせて年6回引かれます。ただし、前半3回と後半3回で性質が違います。
| 4月・6月・8月 | 10月・12月・2月 | |
|---|---|---|
| 呼び方 | 仮徴収 | 本徴収 |
| 引かれる額 | 同年2月と同じ額 | 年間保険料額から仮徴収の分を差し引いた残りを3回に分けた額 |
| 何のための額か | 正しい額が決まるまでの仮の額 | その年度の正しい額に合わせた調整後の額 |
なぜこうなるのか。理由は単純です。その年度の介護保険料は、前の年の所得(=市区町村民税の課税状況)が確定してからでないと計算できないからです。課税の状況がはっきりするのは6月ごろ。それまでは正しい額が出せないので、とりあえず前年度と同じ額を引いておき、確定してから後半で帳尻を合わせます。
盛岡市はこの点を、住民向けにこう説明しています。
決定した年間保険料額から、年度の前半期に仮徴収された保険料額を差し引き、残りの金額を10月・12月・翌年2月の3回に分けて調整した額が、本徴収保険料として年金から天引きされます。
つまり、10月に額が増えることも、減ることもあります。 どちらも正常な動きです。
- 前の年より所得が増えた方 → 10月から増えることが多い
- 退職などで前の年より所得が減った方 → 10月から減ることが多い
- 所得の段階が大きく変わった方 → 4月から8月に少なく引かれていた分を後半でまとめて調整するため、10月だけ大きく動いて見えることがある
「8月は◯◯円だったのに、10月は△△円になっている。誰かに勝手にいじられたのでは」と心配になる方がいますが、まず疑うべきは仮徴収から本徴収への切り替わりです。年金事務所に駆け込む前に、市区町村から届いている介護保険料の通知書を探してください。年間の総額と、6回それぞれの内訳が書いてあります。

3. 天引きされる人・納付書で払う人|分かれ目は年金の年額18万円
介護保険料の納め方は2種類あります。自分で選ぶのではなく、条件で自動的に決まります。
① 特別徴収(年金からの天引き)
老齢(退職)年金・遺族年金・障害年金が年額18万円以上の方が対象です。年金の支払月(4月・6月・8月・10月・12月・2月)に、年6回に分けて天引きされます。手続きは要りません。
② 普通徴収(納付書または口座振替)
次のような方は、市区町村から届く納付書、または口座振替で納めます。納期の回数は市区町村によって違います(船橋市の場合は年10回)。
- 年金が年額18万円未満の方
- 基礎年金の繰り下げ支給の手続き中で、まだ年金を受け取っていない方
- 年度の途中で65歳になった方
- 年度の途中で年金の受給が始まった方
- 年度の途中でその市区町村に転入した方
「65歳になったとたん、いきなり納付書が届いた」というのは、この③④⑤のどれかに当てはまるからです。手違いではありません。 天引きに切り替わるまでには市区町村と年金機構の間でやり取りが必要で、しばらく時間がかかります。その間は納付書で納めることになります。
納付書での支払いは、コンビニやスマートフォンからできる場合もあります。納付書の払い方そのものは、税金の納付書はスマホで払える|eL-QR活用7ステップで手順を写真の流れに沿って説明しています。ただし、介護保険料がスマートフォン決済に対応しているかどうかは市区町村ごとに違います。 納付書の裏面か、市区町村のホームページで確認してください。
4. 保険料はどう決まるのか|前年の所得と、市区町村民税の課税状況
介護保険料は、次の式で決まります。
あなたの保険料 = お住まいの市区町村の基準額 × あなたの所得段階の割合
この「所得段階」が分かれ目です。国が示している標準は13段階。市区町村はこれを上回る段階を設けることもできます(吹田市は20段階を採用しています)。
段階を決めるものは、次の2つです。
- 本人が市区町村民税を課税されているか、非課税か(世帯の課税状況も見ます)
- 前の年の公的年金等の収入額と、合計所得金額
大事なのは、「今」ではなく「前の年」の所得で決まるという点です。だから、こういうことが起こります。
| よくある場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| 65歳で退職した翌年 | 前の年は働いていたので所得が多く、段階が高くなりやすい |
| 退職して2年目 | 年金だけの所得になり、段階が下がることが多い |
| 家や土地を売った翌年 | 売却益が所得に入り、その年だけ段階が上がることがある |
| 配偶者が亡くなった翌年 | 世帯の課税状況が変わり、段階が動くことがある |
「去年と同じ暮らしなのに保険料が上がった」と感じたら、前の年に一時的な収入がなかったかを思い出してみてください。心当たりがなければ、市区町村の介護保険担当に問い合わせて構いません。段階の判定根拠は市区町村が持っています。
5. 自分の介護保険料を確かめる7ステップ
紙とペンを用意して、上から順に進めてください。全部で10分ほどです。
ステップ1|通知書を探す
市区町村から届いた「介護保険料決定通知書」「介護保険料納入通知書」といった名前の書類を探します。封筒は市区町村の名前で届いています。見当たらなければ、市区町村の介護保険担当に電話すれば再発行や内容の確認ができます。
ステップ2|「年間保険料額」を見る
通知書のいちばん目立つところに、その年度に納める1年分の総額が書いてあります。まずこの数字を紙に書き写します。
ステップ3|「所得段階」を見る
第◯段階、というかたちで書かれています。ここが上がっていれば保険料も上がっています。前の年の通知書が残っていれば、段階を見比べてください。
ステップ4|6回分の内訳を見る
天引きの方は、4月・6月・8月(仮徴収)と、10月・12月・2月(本徴収)の6つの欄があります。納付書の方は、納期ごとの金額と納期限が並んでいます。
ステップ5|10月の欄と8月の欄を見比べる
差があっても、それが「年間保険料額 − 仮徴収3回分 ÷ 3」に近ければ、しくみどおりです。計算が苦手なら、次の節にある相談文をAI(人工知能)にそのまま打ち込むと、代わりに確かめてくれます。
ステップ6|分からない数字は電話で聞く
市区町村の介護保険担当は、あなたの段階の判定根拠を持っています。「第何段階になっていますか」「なぜこの段階なのか教えてください」と聞けば答えてもらえます。
ステップ7|通知書を保管する
確定申告や年末調整で使います。1年間はまとめて封筒に入れて保管してください。マイナポータルで確認できる情報もあるので、スマートフォンで見る方法を知りたい場合はマイナポータルの使い方7ステップを参考にしてください。
6. 納付書が届いた人の払い方|5つの手順
天引きではなく納付書で納める方は、次の順番で進めると取りこぼしがありません。
手順1|納期限を全部書き出す
納付書は数か月分がまとめて綴られていることが多く、1枚ずつ納期限が違います。カレンダーに全部書き写すか、冷蔵庫に綴りごと貼っておきます。
手順2|払い方を選ぶ
金融機関の窓口、郵便局、市区町村の窓口、コンビニエンスストア、スマートフォン決済など。どこで払えるかは納付書の裏面に書いてあります。 書いていない方法では払えません。
手順3|口座振替を申し込む
毎回の払い忘れがなくなるので、いちばん確実です。申し込みは市区町村の介護保険担当か金融機関の窓口で、通帳と届出印を持っていきます。手続きから振替の開始までには時間がかかるので、始まるまでは納付書で納めます。
手順4|領収証を保管する
コンビニなどで払った領収証は、確定申告まで捨てないでください。誰がいくら納めたかの証拠になります。
手順5|払えないときは、放置せずに相談する
災害や急な収入減などの事情がある場合、市区町村には減免や分割の相談窓口があります。黙って納期限を過ぎるのがいちばん不利です。次の節で説明するとおり、放っておくと介護サービスを使うときに響きます。

7. 納めないままにするとどうなるか|3つの段階
介護保険料を納めずにいると、介護サービスを使うときの負担が段階的に重くなります。江東区の案内では、次のように説明されています。
| 未納の期間 | 何が起きるか |
|---|---|
| 1年間未納 | いったん介護サービスの費用を全額(10割)支払い、申請により保険給付分9割(一定以上の所得がある方は8割または7割)が支払われる方法(償還払い)となることがある |
| 1年6か月間未納 | 費用を全額(10割)支払ったうえで、滞納している介護保険料が納付されるまで、申請しても保険給付が支払われない(差止め)ことがある |
| 2年以上未納 | 自己負担が3割(一定以上の所得のある方が滞納した場合、自己負担が4割)に引き上げられたり、高額介護サービス費の支給が受けられなくなる |
江東区は、月25万円かかる施設利用を例に、1割負担なら2万5千円のところが3割負担では7万5千円になる、という数字を挙げています。
もうひとつ注意したいのは、2年を過ぎた保険料は、あとから納めたくても納められなくなるということです。時効で納付できなくなったうえに、負担割合の引き上げだけが残ります。「あとで払えばいい」が通じません。
介護保険料は、いま元気な方にとっては「使っていないのに引かれるお金」に感じられます。ただ、必要になったときの負担割合に直結しているのがこの保険料です。払えない事情があるなら、滞納する前に市区町村へ相談してください。

8. 確定申告・年末調整での扱い|納めた保険料は控除できます
納めた介護保険料は、社会保険料控除の対象です。国税庁の案内でも、控除の対象になるものとして「介護保険法の規定による介護保険料」が挙げられています。
ここでつまずきやすいのが、誰の控除になるかです。
| 納め方 | 誰の控除になるか |
|---|---|
| 本人の年金から天引きされた(特別徴収) | その年金を受け取っている本人だけ。家族の申告には使えない |
| 納付書・口座振替で本人が納めた | 本人 |
| 納付書で、生計を一にする家族が実際に納めた | 納めた家族の控除にできる |
「親の介護保険料を子が確定申告に入れたい」という相談はよくありますが、年金から天引きされている分は入れられません。 入れられるのは、納付書などで実際に自分が支払った分だけです。二重に控除することもできません。
必要な書類は、年金から天引きされた分は公的年金等の源泉徴収票(1月ごろに届くはがき)の「社会保険料の金額」欄、納付書で納めた分は領収証や市区町村が出す納付済額のお知らせです。
年金と確定申告の全体の流れはシニアの年金・確定申告をChatGPTで乗り切る完全ガイドに、医療費控除とあわせて申告するときの整理はシニアの確定申告|医療費控除と年金書類の準備にまとめてあります。
9. この時期に増える「介護保険料の還付金」の電話にご注意
保険料の話が増える時期は、それを装った電話も増えます。典型的なのは、こういう言い方です。
「市役所の保険年金課です。介護保険料の払いすぎがありまして、還付金をお返ししたいのですが……」
このあと「手続きの期限が今日まで」「近くのATMへ行ってください」と続いたら、その時点で詐欺です。
覚えておくことは3つだけです。
- 市区町村がATMの操作を電話で頼むことは、絶対にありません。 還付金がATMで戻ることもありません。
- その場でかけ直さない。 相手が名乗った番号にかけ直すのではなく、いったん切って、市区町村の代表番号を自分で調べてかけ直します。
- 一人で決めない。 家族か、警察相談専用電話「#9110」に一度話してから動きます。
手口の見分け方と、電話を切ったあとの動き方は還付金詐欺・ATM誘導の見分け方7チェックにまとめています。
10. AIに聞くときの相談文(そのままコピーして使えます)
通知書の数字は、慣れないと読むのがつらいものです。ChatGPTなどのAI(人工知能)に、そのまま質問文を打ち込んで説明してもらえます。下の文をコピーして、【 】の中だけ書き換えてください。
相談文1|通知書の見方を教えてもらう
介護保険料の決定通知書の見方を、はじめての人にも分かるようにやさしく教えてください。
・私は65歳以上で、年金から介護保険料が天引きされています
・通知書には「年間保険料額」「所得段階」「4月・6月・8月」「10月・12月・2月」の欄があります
どこを最初に見ればよいか、順番に3つだけ教えてください。専門用語は使わず、短い文でお願いします。
相談文2|10月に額が変わった理由を確かめる
年金から引かれる介護保険料について教えてください。
・8月に引かれた額は【 】円でした
・10月に引かれた額は【 】円でした
・通知書に書いてある年間保険料額は【 】円です
仮徴収と本徴収のしくみから考えて、この金額の動きは自然なものか、
それとも市区町村に問い合わせたほうがよいか、判断の目安を教えてください。
相談文3|自分の市区町村の保険料を調べる
【 県 市】に住む65歳以上の人の介護保険料について調べたいです。
・市区町村の公式サイトのどのページを見ればよいか
・「基準額」「所得段階」はどの言葉で探せばよいか
検索するときのキーワードを3つと、見るべきページの名前を教えてください。
相談文4|納付書の払い方を整理する
介護保険料の納付書が届きました。裏面には【コンビニ・金融機関・郵便局】と書いてあります。
・払い忘れを防ぐには、どの順番で何をすればよいか
・口座振替に切り替えるには何を持っていけばよいか
高齢の親でもできるように、手順を5つ以内にまとめてください。
相談文5|家族に説明する文をつくる
離れて暮らす親に、介護保険料のことを電話で説明したいです。
・10月から年金の天引き額が変わることがある
・それは仮徴収から本徴収への切り替わりで、間違いではない
この2点を、80代の親が電話で聞いて分かるように、200字くらいのやさしい話し言葉にしてください。
相談文6|電話で聞くことをメモにする
市区町村の介護保険担当に電話して、自分の介護保険料について聞きます。
聞き忘れがないように、質問する項目を箇条書きで5つ作ってください。
手元に用意しておくべき書類も教えてください。
大事な注意|AIに相談するときは、マイナンバー(個人番号)・口座番号・年金証書の記号番号・生年月日・住所は入力しないでください。 金額や段階だけを打ち込めば十分です。AIの答えはあくまで説明であって、正式な回答ではありません。最終的な確認は必ず市区町村の窓口で行ってください。
AI(人工知能)を初めて使う方は、高齢者のためのChatGPT入門|家族と始める5ステップから読んでみてください。
11. よくある失敗4パターン
失敗1: 10月に額が変わったので「間違いだ」と決めつける
❌ 8月と違う金額を見て、その日のうちに年金事務所へ電話する
⭕ まず市区町村の介護保険料決定通知書を探し、「10月・12月・2月」の欄を見る。しくみどおりなら通知書の数字と一致します
失敗2: 納付書を「後で払おう」と置いたまま忘れる
❌ 綴りのまま引き出しに入れ、納期限を過ぎる
⭕ 届いた日に納期限をすべてカレンダーへ書き写し、口座振替を申し込む。1年を過ぎるとサービス利用時の払い方が変わります
失敗3: 親の介護保険料を、子の確定申告に入れてしまう
❌ 年金から天引きされている分を、同居している子が社会保険料控除に入れる
⭕ 天引き分は本人だけの控除。子が控除に使えるのは、納付書などで実際に子が支払った分だけです
失敗4: 「払いすぎの還付」という電話を信じてATMへ行く
❌ 市役所を名乗る電話の指示どおりに、その足でATMへ向かう
⭕ 電話を切って、市区町村の代表番号を自分で調べてかけ直す。ATMで還付金が戻ることはありません
12. 離れて暮らすご家族ができること
親御さんが遠方にお住まいの場合、電話でここまで確認できれば十分です。
- 封筒の差出人を読み上げてもらう。 市区町村の名前なら介護保険料、日本年金機構なら年金の書類です。混ざりやすいので分けて置いてもらいます。
- 「年間保険料額」と「所得段階」の2つだけ聞き取る。 この2つが分かれば、電話口でも状況がつかめます。
- 8月と10月の天引き額を通帳で見比べてもらう。 増えていても、まずはしくみの説明をしてあげてください。
- 納付書が届いているかを確認する。 届いているなら納期限を聞き取り、口座振替の申し込みを一緒に検討します。
- 通知書と領収証をまとめて保管する場所を決めておく。 確定申告のときに探す手間がなくなります。
- 保険料の引き落としが生活費を圧迫していないか、それとなく聞く。 事情があれば、滞納する前に市区町村へ相談できます。
代わりに手続きをするときは、必ずご本人の意思を確かめてからにしてください。口座振替の申し込みには本人の届出印が要ります。
13. まとめ|今日やること3つ
- 市区町村から届いた介護保険料の通知書を探す。 「年間保険料額」と「所得段階」の2つを紙に書き写します。
- 10月・12月・2月の欄と、8月に引かれた額を見比べる。 差があっても、仮徴収から本徴収への切り替わりであれば正常です。
- 納付書が届いている方は、納期限をカレンダーに書き写す。 そのうえで口座振替を申し込むと、払い忘れがなくなります。
判断に迷ったときは、自己流で結論を出さず、お住まいの市区町村の介護保険担当に自分から連絡してください。保険料を決めているのはその市区町村で、あなたの段階の判定根拠もそこにあります。国や年金事務所では答えられません。
お金の心配で納期限を過ぎそうなときも、同じ窓口が相談先です。滞納してから相談するより、滞納する前に相談したほうが、選べる方法が多く残ります。
出典・参考
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」(PDF) — 第8期6,014円から第9期6,225円(3.5%の伸び)、全国1,573保険者の加重平均、都道府県別の基準額、最低=東京都小笠原村3,374円・最高=大阪府大阪市9,249円
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」(PDF) — 第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40歳から64歳までの医療保険加入者、第1号の保険料負担は「市町村が徴収(原則、年金から天引き)」
- 船橋市「65歳以上の介護保険料の納め方」 — 特別徴収の対象は年額18万円以上、支払月は4月・6月・8月・10月・12月・2月の年6回、仮徴収は同年2月と同額、本徴収は仮徴収額を差し引いた金額、普通徴収になる方の条件と納付書・口座振替
- 盛岡市「10月から年金天引きされる介護保険料額が急に上がり(下がり)ました。なぜですか?」 — 年間保険料が6月以降に確定するため前半は仮徴収、後半で調整して本徴収になる理由
- 江東区「介護保険料を滞納すると」(2025年4月1日更新) — 1年間未納の償還払い、1年6か月間未納の差止め、2年以上未納での自己負担3割(一定以上の所得のある方は4割)と高額介護サービス費の不支給
- 吹田市「令和6年度から令和8年度までの介護保険料について」 — 国が示した標準13段階設定、3年ごとの介護保険事業計画(第9期は令和6年度から令和8年度)、市町村民税の課税状況と前年の収入・所得で段階が決まること
- 国税庁「No.1130 社会保険料控除」 — 介護保険法の規定による介護保険料が控除の対象であること、生計を一にする親族の保険料を支払った場合の扱い
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」(2023年4月5日更新) — 年6回・偶数月の15日、15日が土日または祝日のときは直前の平日、各支払月は前月までの2カ月分
※本記事の金額・割合・期間は、2026年9月7日時点で上記の公式資料に記載されている内容です。介護保険料の額と段階の刻みは市区町村ごとに違い、制度も改正されることがあります。実際の手続きの前に、お手元に届いた通知書とお住まいの市区町村の案内で最新の内容をご確認ください。
この記事を書いた人
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。
X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。
著書『AIエージェント仕事術』『Claude仕事術』(SBクリエイティブ・シリーズ累計50,000部突破)。SBクリエイティブ「ビジネス+IT」ほかで生成AI連載を執筆。
次にやること
- 通知書を探して、「年間保険料額」と「所得段階」だけメモする。 中身の計算は明日でも構いません。
- 同じ時期に届く別の書類と混ざっていないか確認する。 扶養親族等申告書や年金生活者支援給付金のはがきは、どちらも別の手続きです。
- ご家族に一言伝えておく。 「10月から年金の天引きが変わるかもしれない」とだけ共有しておくと、慌てずに済みます。
シニアAIガイドでは、暮らしの中の「困った」をスマートフォンとAIでやさしく片づける方法をお届けしています。次回は、秋から冬にかけて届く行政の通知の見分け方を取り上げる予定です。
FAQ
Q1. 65歳以上の介護保険料は毎月いくらですか。
A. お住まいの市区町村によって違います。厚生労働省の資料では、第9期(令和6年度から令和8年度)の基準額は全国平均で月6,225円です。いちばん低いのは東京都小笠原村の3,374円、いちばん高いのは大阪府大阪市の9,249円で、約2.7倍の差があります。実際の額は、市区町村の基準額にご自身の所得段階の割合をかけて決まります。
Q2. 介護保険料はいつの収入で決まりますか。
A. 前の年の所得です。市区町村民税の課税状況と、前の年の公的年金等の収入額・合計所得金額で所得段階が決まります。課税の状況がはっきりするのが6月ごろのため、その年度の保険料が確定するのも6月以降になります。
Q3. なぜ10月から年金の天引き額が変わるのですか。
A. 4月・6月・8月は前年度の2月と同じ額を仮に引く「仮徴収」で、10月・12月・2月は年間保険料額から仮徴収の分を差し引いた残りを3回に分けて引く「本徴収」だからです。毎年この時期に切り替わるもので、制度が変わったわけではありません。増えることも減ることもあります。
Q4. 介護保険料を払わなくてよい人はいますか。
A. 65歳以上の方は原則として全員が第1号被保険者で、保険料の対象です。ただし所得段階によって額は大きく変わり、住民税が非課税の世帯は低い段階になります。災害や急な収入減などの事情がある場合は、市区町村に減免の相談窓口があります。自己判断で納めないでいると、サービスを使うときの負担が重くなります。
Q5. 40歳から64歳のときも払っていました。65歳から二重払いになりませんか。
A. なりません。40歳から64歳までは第2号被保険者として、加入している医療保険の保険料と一括で徴収されています。65歳になると第1号被保険者に切り替わり、市区町村が徴収する方式に変わります。切り替わりの時期に医療保険側の介護分がいつまで引かれるかは、加入している医療保険にご確認ください。
Q6. 65歳になったら、いつまで介護保険料を払うのですか。
A. 65歳以上の方は第1号被保険者として、その後も納め続けます。介護サービスを使っているかどうかにかかわらず、市区町村が決めた保険料を納めるしくみです。所得段階は毎年の課税状況で見直されるため、額は年によって変わります。
Q7. 年金から天引きされている介護保険料は、どうやって確認できますか。
A. 市区町村から届く介護保険料決定通知書に、年間保険料額と6回分の内訳が書かれています。実際に引かれた額は年金の振込先の通帳でも確認できます。1月ごろに届く公的年金等の源泉徴収票の「社会保険料の金額」欄でも、1年間に天引きされた合計が分かります。
Q8. 年金から引かれた介護保険料は、確定申告で控除できますか。
A. できます。社会保険料控除の対象です。ただし、年金から天引きされた分を控除に使えるのは、その年金を受け取っている本人だけです。家族が本人に代わって申告に入れることはできません。納付書などで家族が実際に支払った分は、生計を一にしていれば支払った方の控除にできます。
Q9. 65歳になったばかりですが、天引きではなく納付書が届きました。手違いですか。
A. 手違いではありません。年度の途中で65歳になった方、年度の途中で年金の受給が始まった方、年度の途中で転入した方は、まず納付書または口座振替で納めます。天引きに切り替わるまでには市区町村と年金機構のやり取りが必要で、しばらく時間がかかります。切り替わるまでは納付書で納めてください。
Q10. 「介護保険料の払いすぎがあるので還付します」という電話がありました。
A. 詐欺を疑ってください。市区町村がATMの操作を電話で頼むことはなく、ATMで還付金が戻ることもありません。相手が名乗った番号にかけ直さず、いったん切って市区町村の代表番号を自分で調べてかけ直してください。不安なときは家族か警察相談専用電話「#9110」に相談してから動きます。