まず結論:将棋中継で見かける「AI評価値」は、100点をおおよそ歩1枚分の価値として、±200点以内なら互角、1000点前後でどちらかが優勢、2000点を超えると勝勢と考えると読みやすくなる数字です(ソフトにより基準は異なります)。無料の将棋AIアプリ「ぴよ将棋」「将皇(しょうおう)」を使えば、ご自分のレベルに合わせて一人でも対局・復習ができます。
- 評価値のプラスは先手有利、マイナスは後手有利を表す数字で、「今どちらが良いか」を数字で確認できます
- 無料アプリは初心者向けの弱いレベルから選べるので、いきなり負け続けて心が折れる心配がありません
- 対局が終わったらAIに振り返ってもらう「感想戦」で、どこで形勢が動いたかを教えてもらえます
この記事の対象:将棋中継のグラフの意味が気になっていた方、テレビ・スマホで観る将棋をもっと楽しみたい方、一人でも将棋の稽古をしたい方。今日やることは「無料の将棋AIアプリを1つスマホに入れて、いちばん弱いレベルで一局指してみる」。これだけです。
藤井聡太竜王・名人の対局が中継されるたび、画面の下や横に出る棒グラフのようなもの——あれが「AI評価値」です。「数字が急に動いたけれど、何が起きたの?」「あの棒はどちらが優勢という意味なの?」というご質問を、スマホ相談の場でよくいただきます。
実は、あの評価値は難しい専門知識がなくても読める、シンプルな数字のルールでできています。そして、同じAIの技術を使えば、テレビを観るだけでなく、ご自分でも将棋AIと対局して稽古することができます。無料のアプリなら、対局相手を探す必要もなく、好きな時間に、ご自分の実力に合わせたレベルで指せます。
この記事では、評価値の読み方から、無料アプリの選び方、レベル設定のコツ、対局後にAIと振り返る方法まで、7つのステップでやさしく説明します。囲碁・将棋を以前から楽しんでいる方も、テレビ中継をきっかけに興味を持った方も、ぜひ今日から一手ずつ試してみてください。
ステップ1:将棋中継でよく見る「AI評価値」って何?数字の意味を知ろう
将棋の「評価値」とは、コンピュータ将棋のAIが盤面を解析して、今の局面がどちらにどれくらい有利かを数字で表したものです。将棋情報サイトの解説によると、いちばん価値の低い「歩」1枚分の得を、だいたい100点として計算する考え方が広く使われています。
数字のプラス・マイナスにも意味があります。
| 評価値 | 意味の目安 |
|---|---|
| 0前後 | ほぼ互角 |
| ±200点以内 | 互角の範囲内 |
| ±400点前後 | プラス側・マイナス側のどちらかがやや有利 |
| ±1000点前後 | 優勢(勝ちに近づいている) |
| ±2000点前後 | 勝勢(かなり優勢) |
| ±9999点 | 詰み(勝敗が決まる場面)が見えている |
プラスの数字は「先手(せんて。最初に指す人)が有利」、マイナスの数字は「後手(ごて)が有利」を表すのが一般的です。ただし正直にお伝えすると、この目安の点数は使っているソフトによって基準がまちまちで、絶対的な決まりではありません。「今、数字が大きいほうに形勢が傾いている」というだいたいの流れをつかむための目安、と考えていただくのがちょうどよい距離感です。
ステップ2:まずは”見るだけ”から|ABEMA将棋チャンネルの無料AI表示
いきなり自分で対局するのが不安な方は、まずテレビ中継やABEMA将棋チャンネルで評価値の動きを眺めるだけから始めるのがおすすめです。
ABEMA将棋チャンネルは、会員登録も料金もかからず、スマートフォン・パソコン・テレビで対局のリアルタイム中継を無料で観られます。公式発表によると、ABEMAでは「SHOGI AI powered by AbemaTV」という独自のシステムが導入されており、3つのAIが同時に局面を判断する「マルチ形勢AI」で、形勢判断や次の一手の候補をリアルタイムに表示しています。
棋士の先生による解説と、画面に表示される評価値のグラフを見比べていると、「この一手で評価値がこんなに動いたのか」と将棋の奥深さがよく分かります。囲碁・将棋を以前から楽しんでいる方は、囲碁・将棋をChatGPTで楽しむ入門記事もあわせてご覧いただくと、対局の流れそのものへの理解も深まります。
私がお話をうかがったシニアの方(78歳・男性)は、「藤井さんの対局は好きでよく観ていたけれど、数字の意味が分からず、ただ眺めていた」とおっしゃっていました。評価値の見方がひとつ分かるだけで、中継を観る楽しさがぐっと広がります。
ステップ3:無料の将棋AIアプリを1つ選ぶ|ぴよ将棋・将皇の違い
観るだけでなく、ご自分でも指してみたくなったら、無料の将棋AIアプリを1つスマホに入れてみましょう。数ある中でも、シニアの方に使いやすいと評判の無料アプリを2つご紹介します。
| アプリ名 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
| ぴよ将棋 | AIのレベルが40段階。対局後に「検討・解析」機能で、悪い手や推奨の手を教えてくれる。入門講座やヒント表示など初心者向けの補助も充実 | 自分のペースで少しずつレベルを上げたい方 |
| 将皇(しょうおう) | 日本将棋連盟公認のアプリで、累計3,000万ダウンロードを超える実績。初心者向けの「入門編」も別に用意されている | まずは実績・知名度のある定番アプリで始めたい方 |
どちらもiPhone・Androidの両方に対応しており、App StoreやGoogle Playで名前を検索すれば無料で入れられます。アプリを入れるのにも、対局するのにも料金はかかりません(一部、広告や追加機能に料金がかかる場合があります)。迷ったら、まずは「将皇」の入門編か「ぴよ将棋」のどちらか1つを試してみて、画面の見やすさや操作感が自分に合うほうを選ぶとよいでしょう。
ステップ4:レベル設定と「待った」機能|弱いAIから始めよう
アプリを入れたら、対局を始める前に必ず確認していただきたいのが「レベル(強さ)」の設定です。
- 対局を始める画面で、「レベル」「強さ」「段位」などの設定項目を探します
- いちばん弱いレベル(初心者向け・入門レベル)を選びます
- 先手・後手を選び、対局を開始します
ぴよ将棋であれば40段階のレベルがあり、いちばん弱いレベルからでも十分に楽しめます。負けが続くようなら、レベルを1つ下げてかまいません。勝てる楽しさを味わいながら、少しずつレベルを上げていくのが、長く続けるコツです。
また、多くの将棋AIアプリには「待った」という機能があります。これは、直前の一手を取り消して、もう一度考え直せる機能です。対人戦では気が引ける「待った」も、AI相手なら気兼ねなく使えます。「この手はどうだったかな」と思ったら、遠慮なく待ったを使って、いろいろな指し方を試してみましょう。
ステップ5:一局終わったらAIと「感想戦」|どこで形勢が動いたかを知る
将棋には昔から「感想戦(かんそうせん)」という文化があります。対局が終わったあとに、その一局を振り返って「あの場面はどうすればよかったか」を話し合う時間のことです。無料の将棋AIアプリなら、対局相手がいなくても、AIを相手に一人で感想戦ができます。
ぴよ将棋の「検討・解析」機能を例にすると、対局を振り返るとどの手が悪手(形勢を悪くした手)だったか、AIが考える推奨の手は何だったかを、一手ずつ確認できます。評価値のグラフが大きく動いた場面を見つけたら、そこが振り返りのポイントです。
「なぜこの手が悪手なのか、うまく理解できない」というときは、ChatGPTに盤面の状況を言葉で説明して、解説してもらうのもひとつの方法です。ChatGPTをまだ使ったことがない方は、高齢者のためのChatGPT入門から始めると迷いません。
ステップ6:孫や家族と将棋AIを楽しむ|対局・観戦のひと工夫
将棋AIは、一人稽古だけでなく、家族との時間を豊かにする道具にもなります。
- 孫との対局の練習台に:お孫さんと指す前に、AI相手に手筋(てすじ。よく使われる指し方のパターン)をおさらいしておくと、いざという時に自信を持って指せます
- 中継を一緒に観る話のタネに:「今、評価値がこっちに傾いたね」と、評価値グラフを見ながら家族と会話すると、将棋を知らない世代の方にも楽しみが伝わりやすくなります
- テレビ・動画での観戦をもっと楽しく:将棋中継以外のテレビ・動画の楽しみ方は、シニアのテレビ・ラジオ・動画をChatGPTで楽しむ記事もあわせてご覧ください
一人で静かに指すもよし、家族と画面を囲んで中継を観るもよし。将棋AIは、シニアの毎日の楽しみをひとつ増やしてくれる存在です。
ステップ7:迷ったらAIに聞く|ChatGPT・Geminiへの指示文5つ
アプリの操作や評価値の意味で分からないことがあったら、ChatGPTやGeminiのようなAIに言葉で教わるのがいちばんの近道です。人に何度聞いても嫌な顔をしないのが、AIのいちばん良いところです。そのまま使える指示文(プロンプト。AIへのお願いの言葉)を5つご用意しました。
指示文1(評価値の意味を教わる):「将棋の評価値について教えてください。プラスとマイナスは何を意味するのか、初心者にも分かるやさしい言葉で説明してください。仮定した点は”仮定”と明記してください。」
指示文2(アプリの操作を1つずつ教わる):「スマホの将棋アプリで、AIのレベルをいちばん弱く設定する方法を知りたいです。どのボタンを押せばよいか、1つずつ順番に、やさしい言葉で教えてください。分からないところがあったら、先に進む前に私に質問してください。」
指示文3(負け続けて悔しいとき):「将棋AIに何度も負けてしまい、少し悔しいです。無理なく実力を上げていくための練習の進め方を、3つのステップで提案してください。」
指示文4(対局を振り返りたい):「将棋で〇〇という手を指したら評価値が大きく動きました。この手のどこが良くなかったのか、代わりにどんな手が考えられるのか、初心者向けにやさしく教えてください。数字と根拠があれば添えてください。」
指示文5(孫に説明する言葉を準備する):「70代です。将棋のAI評価値について、小学生の孫にも分かるように、たとえ話を使ってやさしく説明する言い方を3つ考えてください。」
Androidのスマホに入っているGoogleのAI「Gemini」の始め方はシニアのGemini入門で説明しています。
【要注意】よくある失敗パターンと直し方
将棋AIアプリでつまずきやすいポイントを4つ、先回りでお伝えします。
失敗1:最初から最強レベルに挑戦して心が折れる
❌ 「どうせなら」と、いちばん強いレベルで対局を始めてしまう
⭕ いちばん弱いレベルから始めましょう。将棋AIは人間よりはるかに強いレベルまで用意されていることが多く、最初から高いレベルに挑むと勝てる見込みがほとんどありません。勝てる楽しさを味わいながら、少しずつレベルを上げるのが長続きのコツです。
失敗2:評価値の数字だけを追いかけて、盤面を見なくなる
❌ グラフの数字が動くのだけを眺めて、なぜそうなったのか考えない
⭕ 数字が大きく動いた場面では、そのときの盤面(駒の並び)を必ず見返しましょう。「この手を指したから数字が動いた」という一手一手のつながりを追うことが、将棋を楽しむ本来の面白さです。数字はあくまで、振り返りのきっかけとして使いましょう。
失敗3:無料の範囲を超えて、知らないうちに課金してしまう
❌ 「級位認定」「段位認定」などの案内が出るたびに、内容を確認せず進めてしまう
⭕ 対局や検討そのものは無料でできる範囲が広いですが、級位・段位の認定や広告の非表示化など、一部の機能は有料になっていることがあります。料金の案内画面が出たら、いったん立ち止まって内容を確認し、迷ったらご家族に相談してから進めましょう。
失敗4:対局に夢中になり、長時間同じ姿勢のまま画面を見続ける
❌ 気づいたら何時間も、同じ姿勢でスマホを見続けている
⭕ 一局指し終えたら、いったん画面から目を離して伸びをするなど、こまめに休憩を挟みましょう。将棋AIはいつでも待っていてくれるので、急いで続ける必要はありません。無理のないペースで、末長く楽しむのがいちばんです。
よくある質問(FAQ)
将棋AIとは何ですか?
コンピュータが盤面を解析して、次の一手や形勢(今どちらが有利か)を判断する将棋のプログラムのことです。テレビ・ABEMA将棋チャンネルの中継で評価値を表示する仕組みにも、対局の練習相手になってくれる無料アプリにも使われています。
評価値の数字は何を意味しますか?
プラスは先手有利、マイナスは後手有利を表す目安の数字です。将棋情報サイトの解説では、200点以内なら互角、1000点前後で優勢、2000点前後で勝勢と考えられることが多いとされています。ただしソフトによって基準はまちまちなので、あくまで流れをつかむ目安として見るのがおすすめです。
無料の将棋AIアプリはありますか?
あります。「ぴよ将棋」はAIのレベルが40段階あり対局後の検討機能も充実しています。「将皇」は日本将棋連盟公認で、累計3,000万ダウンロードを超える定番アプリです。どちらもApp Store・Google Playから無料で入れられます。
将棋AIに勝てないのは普通ですか?
普通のことです。将棋AIは人間の名人をも上回るレベルまで強さを設定できることが多く、最初から勝てなくても気にする必要はありません。いちばん弱いレベルから始めて、少しずつ実力に合わせて調整していきましょう。
藤井聡太竜王・名人とAI、どちらが強いですか?
藤井聡太竜王・名人は2023年に史上初めて将棋の8つのタイトルすべてを同時に保持する「八冠」を達成したトップ棋士です。プロ棋士とAIの強さを単純に比較するのは難しく、保持タイトルの数も防衛戦の結果によって変わります。最新の状況はABEMA将棋チャンネルなど公式の情報でご確認ください。
パソコンでも将棋AIを使えますか?
使えます。ぴよ将棋はWEB版が用意されており、パソコンのブラウザからも遊べます。ABEMA将棋チャンネルの中継も、パソコンのインターネットで無料視聴できます。大きな画面で盤面を見たい方には、パソコンでの利用もおすすめです。
まとめ:今日から始める3つのアクション
将棋のAI評価値は、意味さえ分かれば中継観戦がぐっと楽しくなる数字です。そして無料アプリを使えば、一人でも自分のペースで将棋の稽古ができます。最後に、今日やることを3つにまとめます。
- 評価値の目安を覚える——「±200点は互角、1000点前後で優勢」というおおまかな目安を覚えておく。次に中継を観るときに、グラフの見方が変わります(5分)
- 無料アプリを1つ入れてみる——「ぴよ将棋」か「将皇」を検索して、無料でスマホに入れてみる(5分)
- いちばん弱いレベルで一局指す——レベルをいちばん弱く設定して、一局最後まで指してみる。負けても大丈夫、まずは操作に慣れることが目的です(15分)
次回は、シニアの方に人気の別の趣味を、AIと一緒に楽しむ方法をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに。
この記事を書いた人
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を手がけ、シニア向けのAI・スマホ活用の発信も行う。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆。
参考・出典
- 株式会社AbemaTV公式発表「AbemaTV将棋チャンネルにSHOGI AI powered by AbemaTVを正式導入決定」
- 日本将棋連盟 公式サイト内 ABEMA将棋チャンネル案内
- 「ぴよ将棋」App Store公式ページ
- 「将棋アプリ 将皇」App Store公式ページ
- 将棋ソフトの評価値の見方(形勢判断の目安に)(参照日: 2026-08-06)