結論:「このメール、本物かしら?」「この通販サイト、買って大丈夫?」と不安になったら、すぐに買ったり、リンクを押したりせず、まずChatGPT(チャットジーピーティー)に文面を見せて相談するのが安心です。あやしいポイントを、やさしい言葉で整理して教えてくれます。
- 要点1:届いたメールやメッセージの文章を、そのままChatGPTに貼り付けて「これはあやしいですか?」と聞くだけ。判断のポイントをかみくだいて教えてくれる
- 要点2:通販サイトの住所(URL)や会社名をChatGPTに伝えると、確認すべき点を一覧にしてくれる。ただしChatGPTは「本物だと保証」はできない。最終確認は公式サイトや家族と一緒に
- 要点3:ChatGPTは相談相手であって、警察や消費生活センターの代わりではありません。お金を払ってしまった・個人情報を入力してしまった場合は、すぐに公的な窓口へ連絡してください
対象読者:通販サイトやメール・SMSが本物か不安になりがちなシニアご本人(60代〜80代)と、離れて暮らす親を詐欺から守りたい子・孫世代(30代〜50代)
今日やること:もし今、気になるメールやメッセージが手元にあれば、その文章をChatGPTに貼り付けて「これはあやしい内容ですか?やさしく教えてください」と聞いてみてください。リンクは押さずに、文章だけ相談するのが安全です
「Amazonから『お支払いに問題があります』ってメールが来てね。あわてて押しそうになったんだけど……これ、本物なのかしら」
先日、ネット詐欺についてお話をうかがった72歳の女性は、スマホを見せながら少し青ざめた顔でそう話してくれました。文面はそれらしく書かれていて、有名な会社のロゴまで入っている。でも、よく見ると日本語が少しおかしい——そんなメールでした。
こうした「本物そっくりの偽メール・偽サイト」は、年々ふえています。私たちがシニアの方をサポートしてきた中でも、「あやしいとは思ったけど、確かめる方法がわからなかった」という声を本当によく聞きます。一人で判断するのは、思っている以上にむずかしいものです。
そんなときに頼れるのが、ChatGPT(チャットジーピーティー)というAI(人工知能)です。届いた文面を見せて相談すると、「ここがあやしいですよ」とやさしく教えてくれます。あわてて行動する前のワンクッションとして、とても役立ちます。この記事では、偽サイト・偽メールをChatGPTで見分けるコツを、コピペ(コピー&ペースト)できる指示文つきでていねいにご紹介します。
はじめに大切なことをお伝えします。ChatGPTは、あやしい点を整理して教えてくれる相談相手です。「これは100%本物」「これは100%詐欺」と保証することはできません。最終的な判断や、被害にあったときの対応は、公式サイトの確認や、警察・消費生活センターなどの公的な窓口を必ずご利用ください。
ChatGPTそのものが初めての方は、先に高齢者のためのChatGPT入門|家族と始める安心5ステップをご覧ください。
なぜ偽サイト・偽メールにだまされやすいのか
本物そっくりに作られている
最近の偽サイトや偽メールは、有名な会社のロゴや色づかいを真似て、本物そっくりに作られています。「いかにもあやしい」見た目ではなく、ぱっと見では見分けがつかないものが多いのです。だまされやすいのは、けっして「注意が足りないから」ではありません。それだけ巧妙に作られている、ということです。
「急いで」とせかしてくるのが共通点
偽メールや偽サイトには、ある共通点があります。それは「今すぐ」「24時間以内に」「アカウントが停止されます」とせかしてくることです。人は急かされると、冷静な判断ができなくなります。これが詐欺のねらいです。「急いで」と書かれていたら、むしろ「あやしいかも」と立ち止まる習慣をつけましょう。
一人で抱え込みやすい
「だまされたかも」と思っても、はずかしくて家族に言えず、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。ChatGPTは、人に言いにくいことも気軽に相談できる相手です。「これ、あやしい?」と気軽に聞ける場所があるだけで、被害をふせげることがあります。
【準備】ChatGPTに相談する前に知っておくこと
あやしいリンクは絶対に押さない
まず一番大切なことです。メールやメッセージにあるリンク(青い文字や、押せる場所)は、あやしいと思ったら絶対に押さないでください。リンクを押すだけで、偽サイトに誘導されたり、スマホに悪いプログラムが入ったりすることがあります。ChatGPTに相談するときは、リンクは押さずに「文章だけ」を貼り付けて聞きましょう。
個人情報・口座番号は入力しない
ChatGPTに相談するときも、氏名・住所・電話番号・銀行口座の番号・クレジットカードの番号・暗証番号などの個人情報は入力しないでください。相談に必要なのは、「届いた文面」と「あやしいと感じた点」だけです。たとえば自分の名前が文中にあれば、そこは「(私の名前)」と置きかえてから貼り付けると安心です。
ChatGPTは「保証」はできないと心得る
ChatGPTは、あやしい特徴を整理して教えてくれますが、「このサイトは絶対に安全です」と保証することはできません。あくまで判断のヒントをくれる相談相手です。最後は、公式サイトで確認したり、家族に見てもらったりして、複数の目でたしかめてください。
【基本】届いたメール・SMSをChatGPTで見分ける手順
ステップ1:文面をそのまま貼り付ける
あやしいメールやメッセージが届いたら、その文章をコピーして、ChatGPTに貼り付けます。文字を打つのが苦手な方は、家族に手伝ってもらってもOKです。下のように聞いてみてください。
次のメッセージが届きました。これはあやしい内容でしょうか。
だまされないために、気をつけるべき点をやさしく教えてください。
私の名前や個人情報は「(伏せ字)」に置きかえています。
【ここに届いた文面を貼り付ける】
※不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
ChatGPTが、「ここがあやしいポイントです」と、いくつかの観点から教えてくれます。
ステップ2:あやしいポイントを一覧にしてもらう
もう少しくわしく知りたいときは、こう頼みます。
このメッセージのあやしいポイントを、
3つから5つにしぼって、箇条書きでわかりやすくまとめてください。
専門用語は使わず、シニアにも分かる言葉でお願いします。
「差出人のアドレスが公式と違う」「『今すぐ』とせかしている」「日本語が少し不自然」など、見分けるポイントを整理してくれます。
ステップ3:本物かどうかの「確認のしかた」を聞く
ChatGPTは保証はできませんが、「自分で確かめる方法」を教えてくれます。
このメッセージが本物かどうかを、自分で安全に確認する方法を
順番に教えてください。リンクを押さずに確認できる方法でお願いします。
たとえば「メールのリンクからではなく、公式アプリや、自分でブックマークした公式サイトから確認する」といった、安全な確かめ方を教えてくれます。
ステップ4:判断に迷ったら「やらない」を選ぶ
ChatGPTに相談しても判断に迷うときは、「何もしない」を選んでください。リンクを押さない、お金を払わない、個人情報を入力しない——これが一番安全です。「本当に大切な連絡なら、別の方法でまた連絡が来るはず」と考えて、あわてず家族に相談しましょう。
【応用】通販サイトが本物か不安なときの調べ方
サイトの住所(URL)と会社名を確認する
はじめて使う通販サイトで買い物をするときは、不安になりますよね。そんなときは、サイトの住所(URL。画面の上のほうに出ている「https://〜」の文字)と、サイトに書かれている会社名をChatGPTに伝えて相談します。
はじめて使う通販サイトで買い物をしようか迷っています。
安全に利用できるサイトかどうかを、自分で確認するための
チェックリストを作ってください。
シニアにも分かるように、やさしい言葉でお願いします。
「会社の住所や電話番号がきちんと書かれているか」「支払い方法が極端に少なくないか」「あまりに値段が安すぎないか」など、確認すべき点を一覧にしてくれます。
「安すぎる」「振込のみ」は立ち止まる合図
偽通販サイトには、いくつかの特徴があります。定価よりも極端に安い・支払いが銀行振込だけしか選べない・会社の連絡先がはっきりしない——こうした点があれば、立ち止まる合図です。ChatGPTに「こういう特徴のサイトは安全ですか?」と聞けば、注意点を整理してくれます。判断に迷ったら、買わないのが一番です。
口コミや評判の調べ方を聞く
このお店の名前で、評判や口コミを安全に調べる方法を教えてください。
あやしい点があるかどうかを、確かめる手順も知りたいです。
ChatGPTが、お店の評判を調べる手順を教えてくれます。ただし、ChatGPTが教えてくれる情報も最新とはかぎらないので、最後は公式の情報や家族の意見も合わせて判断してください。
【要注意】よくある失敗パターンと回避策
失敗1:あわてて先にリンクを押してしまう
❌ 「アカウント停止と書いてあって、こわくなって先にリンクを押してしまった」
⭕ どんなにせかされても、まずリンクは押さず、文章だけをChatGPTに見せて相談する
なぜこれが重要か:偽メールの目的は、あなたにリンクを押させて、偽サイトへ誘導することです。「急いで」と書いてあるほど、いったん立ち止まりましょう。本物の会社は、メール一通でアカウントをすぐ止めたりはしません。
失敗2:ChatGPTの「大丈夫そう」をうのみにする
❌ 「ChatGPTが『問題なさそう』と言ったから、すぐに買って個人情報も入力した」
⭕ ChatGPTの回答はヒントとして受け取り、公式サイトの確認や家族への相談も合わせて行う
なぜこれが重要か:ChatGPTは「保証」はできません。あくまで判断材料の一つです。お金や個人情報がからむときは、ChatGPTの回答だけで決めず、必ず別の方法でも確認しましょう。
失敗3:個人情報を入力して相談してしまう
❌ 「相談のために、自分の名前や口座番号もそのままChatGPTに貼り付けた」
⭕ 名前や番号は伏せ字にして、「文面」と「あやしいと感じた点」だけを相談する
なぜこれが重要か:ChatGPTの会話内容は、OpenAI社のサーバーに送られます。相談に個人情報は必要ありません。伏せ字に置きかえてから相談する習慣をつけましょう。
失敗4:はずかしくて誰にも相談できない
❌ 「だまされたかもしれないけど、家族に言うのがはずかしくて黙っていた」
⭕ あやしいと思ったら、ChatGPTにも家族にもすぐ相談する。早いほど被害を小さくできる
なぜこれが重要か:詐欺は、誰にでも起こりうることです。はずかしいことではありません。早く相談するほど、被害を防いだり小さくしたりできます。ChatGPTは気軽な相談相手として、最初の一歩に使ってください。
もし被害にあってしまったら——公的な相談窓口へ
お金を払った・個人情報を入力したらすぐ連絡
もし、すでにお金を払ってしまった、クレジットカードの番号や個人情報を入力してしまった場合は、ChatGPTに相談するだけで終わらせず、すぐに公的な窓口へ連絡してください。クレジットカードを使ったなら、カード会社にもすぐ連絡して、カードを止めてもらいましょう。
相談できる公的な窓口
- 消費者ホットライン(局番なしの188):身近な消費生活センターにつながります。「いやや(188)」と覚えてください
- 警察相談専用電話(#9110):詐欺などの相談ができます
- カード会社・銀行:支払いに関わる場合は、すぐに連絡してカードや口座を止めてもらう
ChatGPTに「消費生活センターに相談するときに、何を伝えればいいか整理して」と頼めば、伝える内容のメモも作れます。ただし、相談そのものは必ず公的な窓口へ行ってください。
家族がサポートするときのコツ
「あやしいと思ったら、まず私に見せてね」と伝える
離れて暮らすご両親には、「あやしいメールが来たら、押す前に写真を撮って送ってね」とあらかじめ伝えておきましょう。判断に迷ったときの「相談先」が決まっているだけで、ご本人は安心できます。ChatGPTを一緒に使えるようにしておくのも、心強い備えになります。
叱らずに、相談しやすい雰囲気をつくる
もしご両親があやしいメールにだまされそうになっても、「なんで押したの!」と叱らないであげてください。叱られると、次から相談しづらくなってしまいます。「相談してくれてよかった」と伝えるほうが、結果的に被害をふせげます。
よくある質問(FAQ)
Q1:ChatGPTで偽サイトを見分けるのは無料ですか?
はい、ChatGPTの無料プランで相談できます。届いた文面を貼り付けてあやしい点を聞く程度の使い方は、無料プランの範囲でまかなえます。自分で有料プランに切り替えない限り料金はかかりません(OpenAI公式 2026年5月時点)。
Q2:ChatGPTは「このサイトは詐欺です」と断言してくれますか?
いいえ、ChatGPTは「絶対に詐欺」「絶対に安全」と断言することはできません。あやしい特徴を整理して教えてくれる相談相手です。最終的な判断は、公式サイトの確認や家族への相談、迷ったら公的な窓口の利用も合わせて行ってください。
Q3:あやしいメールのリンクを、確認のために押してもよいですか?
いいえ、あやしいと思ったリンクは押さないでください。リンクを押すだけで偽サイトに誘導されたり、スマホに悪いプログラムが入ったりすることがあります。ChatGPTに相談するときも、リンクは押さず文章だけを貼り付けてください。
Q4:もうお金を払ってしまいました。どうすればよいですか?
すぐに公的な窓口へ連絡してください。消費者ホットライン(局番なしの188)や警察相談専用電話(#9110)で相談できます。クレジットカードを使った場合は、カード会社にもすぐ連絡してカードを止めてもらいましょう。ChatGPTで相談内容を整理することはできますが、対応そのものは必ず公的な窓口で行ってください。
Q5:相談するとき、自分の名前や住所も入力したほうがよいですか?
いいえ、個人情報は入力しないでください。氏名・住所・電話番号・口座番号などは、伏せ字に置きかえてから相談しましょう。相談に必要なのは「届いた文面」と「あやしいと感じた点」だけです。
Q6:パソコンがなくてもスマホだけでできますか?
はい、スマホだけでできます。ChatGPTのアプリをスマホに入れれば、届いたメッセージを貼り付けたり、音声で相談したりできます。パソコンは必要ありません。
参考・出典
- ChatGPT — OpenAI — OpenAI公式(参照日: 2026-05-21)
- ChatGPT Plans — OpenAI公式(参照日: 2026-05-21)
- 全国の消費生活センター等(消費者ホットライン188) — 国民生活センター(参照日: 2026-05-21)
- サイバー犯罪対策 — 警察庁(参照日: 2026-05-21)
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること:気になるメールやメッセージが手元にあれば、リンクは押さず、文章だけをChatGPTに貼り付けて「これはあやしいですか?」と聞いてみてください。3分で判断のヒントが得られます
- 今週中:「あやしいと思ったらリンクを押さない・お金を払わない・個人情報を入力しない」の3つを、家族と確認しておきましょう
- 今月中:消費者ホットライン(188)と警察相談専用電話(#9110)を、スマホのメモや電話帳に登録しておいてください。いざというとき、あわてずに相談できます
次回予告:次の記事では「シニアが家電の使い方をChatGPTで調べる方法」をテーマに、リモコンや説明書の困りごとを解決するコツをお届けします。
著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AI(人工知能)の可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー約10万人)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開し、シニアの方への個別サポートにも力を入れています。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆。
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