結論:自分の住む町やふるさとの歴史は、ChatGPT(チャットジーピーティー=文章で会話できるAI)に相談しながら少しずつ調べ、思い出を文章にまとめれば、お孫さんに伝わる「わが家の記録」になります。
- 地名の由来・昔あったもの・お祭りの起源などを、AIにきっかけとして聞ける
- 自分の記憶や思い出を、AIに整えてもらってやさしい文章に残せる
- 大事なことは郷土資料・図書館・市区町村の公式・郷土史会で必ず確かめる
こんな方へ:自分の町や故郷の歴史、昔の暮らしに興味があり、それを記録して家族や孫に伝えたい60代〜80代の方と、そのご家族。
今日やること:子どものころ、近所にあった建物やお店をひとつ思い出して、ChatGPTに「○○県○○市にあった昔の様子を知りたいです。やさしく教えてください」と聞いてみましょう。
「この町の名前って、そもそもどういう意味なんだろう」
先日、76歳のお父様のスマホをお手伝いしていたとき、ふとこんなつぶやきを聞きました。生まれ育った土地なのに、地名の由来や昔の様子は、意外と知らないものです。お祭りがいつ始まったのか、子どものころにあったあの店はどこへ行ったのか。気にはなるけれど、わざわざ図書館まで足を運ぶのもおっくうで、そのままになっている。そんな方は、きっと多いと思います。
実は、こうした「ふるさとの歴史を知りたい」という気持ちにこそ、ChatGPTがいい相棒になってくれます。調べもののとっかかりを作ったり、ぼんやりした記憶を文章に整えてくれたり。AIは「物知りな話し相手」であり「文章の整え役」です。自分一人だと続かない調べものや書きものも、AIに相談しながらだと、ぐっと楽しく進められるんです。
この記事では、自分の町やふるさとの歴史をChatGPTで深掘りし、昔の暮らしを記録して、お孫さんに伝える物語にするまでの進め方を、そのまま使える会話の例をたっぷり添えてご紹介します。スマホでChatGPTのアプリを開いて、一緒にやってみましょう。

まず大切なこと:AIの歴史の話は「きっかけ」。事実は必ず確かめる
進め方の前に、ひとつだけ、いちばん大切なことをお伝えします。
ChatGPTはとても物知りですが、歴史や地域の情報については、事実と違うことや作り話を、さも本当のように答えることがあります。これはAIの仕組み上どうしても起きることで、専門的には「ハルシネーション(もっともらしい作り話)」と呼ばれています。総務省も、インターネット上の情報をうのみにせず、自分で確かめる大切さをよびかけています(総務省「上手にネットと付き合おう」2026年6月時点)。
とくに地名の由来やお祭りの起源、昔の年号などは、ChatGPTがそれらしく答えても、実際とは違うことがよくあります。ですから、ChatGPTの答えは「調べごとのとっかかり」「話のきっかけ」と考えてください。そして、お孫さんに伝えたり、文章として残したりする大事なことは、次の場所で必ず確かめましょう。
- 市区町村の公式サイト・郷土資料館 → その土地の歴史や文化財を、公式に確認できます
- 図書館の「郷土資料コーナー」や自治体史(市史・町史・村史) → 地域の歴史がもっとも正確にまとまっています
- 地元の郷土史会・歴史同好会 → くわしい人に直接たずねられます
そしてもうひとつ。ChatGPTに、自分や家族の名前・住所・電話番号などの個人情報は入れないでください。「昔住んでいた家の様子」を聞くときも、具体的な番地まで書く必要はありません。このコツさえ守れば、安心して楽しく使えます。それでは、順番に見ていきましょう。
その1:地名の由来や昔あったものを、AIに聞いてみる
まずは、いちばん入りやすい「調べるきっかけ」づくりから。気になっている地名や、昔あった建物・お店のことを、ChatGPTに聞いてみましょう。
たとえば、こんなふうに話しかけてみてください。文章は、話すように打って大丈夫です。
○○県○○市の「△△町」という地名には、どんな由来があると考えられますか? むずかしい言葉を使わず、やさしく教えてください。はっきりわからないことは「わかりません」と正直に答えてください。
すると、ChatGPTは「川のそばだったから」「昔このあたりに〇〇があったから」など、考えられる由来をいくつか挙げてくれます。ここで大事なのが、最後の「わからないことは正直に答えてください」という一言です。これを添えると、AIが無理に作り話をしにくくなり、答えの信頼度が少し上がります。
お祭りの起源を聞くのもおすすめです。
○○県○○市で毎年行われる「△△祭り」は、どんな由来やいわれがあるお祭りですか? 一般的に言われていることを、やさしく教えてください。
ただし、ここで返ってきた由来や年号は、まだ「下調べ」の段階です。「へえ、そういう説もあるんだ」と楽しむぶんにはぴったりですが、人に伝える前には、市区町村の公式サイトや図書館の郷土資料で確かめましょう。AIに教わった内容を「調べるべきことのメモ」にしておくと、図書館へ行ったときに探しやすくなります。
言葉のちょっとした疑問を聞くコツは、「わからないことをChatGPTに聞く|物知り相談相手の使い方」でもくわしくご紹介していますので、あわせてどうぞ。
その2:子どものころの暮らしや町の変化を、AIに引き出してもらう
ふるさとの歴史は、本に書いてあることだけではありません。あなた自身が見てきた「昔の暮らし」も、立派な歴史です。けれど、いざ思い出そうとすると、なかなか言葉が出てこないもの。そんなとき、ChatGPTに「質問してもらう」と、記憶がよみがえってきます。
たとえば、こんなふうにお願いしてみましょう。
私は昭和20年代生まれで、子どものころの町の様子を思い出して文章に残したいです。記憶を引き出すために、私に「はい・いいえ」で答えられるような、やさしい質問を5つ出してください。一度に1つずつ聞いてください。
すると、ChatGPTは「近所に駄菓子屋さんはありましたか?」「家にお風呂はありましたか、それとも銭湯に通っていましたか?」といった、思い出のとびらを開けてくれる質問を投げかけてくれます。それに答えていくうちに、「そういえば、夏は近所の井戸で西瓜を冷やしてたなあ」と、忘れていた光景が次々によみがえってくるんです。
町の「変化」を語るのもいいテーマです。
私が住む町は、昔は田んぼばかりでしたが、今は住宅地になりました。この50年でどんなふうに変わってきたか、私が話す内容を整理する手伝いをしてください。まず、変化を順番に話せるように、私に質問してください。
大切なのは、AIに「事実」を作らせるのではなく、あなたの記憶を「引き出してもらう」こと。あなたが実際に見て覚えていることは、世界でいちばん確かな資料です。AIは、その記憶をうまく言葉にするお手伝いをしてくれます。
その3:思い出を、お孫さんに伝わるやさしい物語にまとめる
記憶を引き出せたら、いよいよそれを「お孫さんに伝わる文章」にしていきます。ここがChatGPTの得意中の得意。話した内容を、読みやすくやさしい言葉に整えてくれます。
たとえば、思い出をいくつか話したあとで、こうお願いします。
今お話しした子どものころの思い出を、小学生の孫が読んでもわかるように、やさしい言葉で400字くらいの短いお話にまとめてください。むずかしい漢字や言葉は使わないでください。
すると、ばらばらだった思い出が、ひとつのあたたかいお話としてまとまります。お孫さんの名前を入れたいときは、文章ができあがってから自分で書き加えれば大丈夫。AIにお孫さんの個人情報を伝える必要はありません。
うまくいかない使い方も知っておきましょう。
- ❌ 「いい感じの思い出話を書いて」とだけお願いする → AIがあなたの体験を知らないので、当たりさわりのない作り話になってしまいます。
- ⭕ 自分が話した内容を「これをまとめて」とお願いする → あなたの本当の思い出が、やさしい文章になります。これが正しい使い方です。
つまり、中身(思い出)はあなたが出し、形(文章)をAIに整えてもらうのがコツです。できあがった文章は、読んでみて「ちょっと違うな」と思うところを直してください。あなたの言葉で仕上げることで、ぐっと「わが家の記録」らしくなります。
自分の人生全体をまとめたくなったら、聞き書きで残す進め方もあります。「シニアの自分史をChatGPTで作る方法|家族に残す聞き書きテンプレート」もぜひ参考にしてください。
その4:もっと知るための「調べ方」をAIに案内してもらう
ChatGPTで下調べをして、興味がわいてきたら、次は「本物の資料」にあたってみましょう。とはいえ、どこで何を調べればいいか分からない。そんなときも、AIが調べ方を案内してくれます。
自分が住む町の昔の歴史を、図書館や公式の資料でくわしく調べたいです。どんな種類の資料を、どこで探せばよいか、初心者にもわかるように教えてください。
ChatGPTは、たとえば次のような調べ場所を教えてくれます。実際に役立つ、信頼できる入り口をご紹介します。
- 図書館の「郷土資料コーナー」 → 多くの図書館に、その地域専門の本を集めた棚があります。司書さんに「この町の歴史を調べたい」と伝えれば、ぴったりの本を案内してくれます。
- 自治体史(市史・町史・村史) → 市区町村がまとめた、地域の歴史の決定版。図書館や役所で見られます。
- 市区町村の公式サイト・郷土資料館・歴史民俗資料館 → 地名の由来やお祭り、昔の道具などが公式に紹介されています(文化庁も各地の民俗文化財を紹介しています。「文化庁 民俗文化財」2026年6月時点)。
- 国立国会図書館「リサーチ・ナビ」 → 地域の歴史の調べ方を、専門家がやさしく案内しているページがあります(国立国会図書館リサーチ・ナビ「地域・郷土の調べ方」2026年6月時点)。
調べ物の整理には、新聞や本の内容をまとめてもらう使い方も役立ちます。「シニアの読書・新聞をChatGPTで楽しむ|要約と感想のコツ」もあわせてご覧ください。図書館へ行く前に、ChatGPTで「聞きたいことリスト」を作っておくと、司書さんに相談しやすくなりますよ。
その5:古い写真や思い出の品を整理して、記録に添える
ふるさとの記録には、写真があるとぐっと豊かになります。アルバムに眠っている古い写真や、思い出の品の整理も、ChatGPTに相談しながら進められます。
たとえば、写真の整理に迷ったら、こんなふうに聞いてみましょう。
古い家族写真がたくさんあって、整理に困っています。孫に残すことを考えて、どんな順番や分け方で整理すればよいか、やさしく提案してください。
ChatGPTは「年代順に並べる」「場所ごとに分ける」「行事ごとにまとめる」といった分け方を提案してくれます。写真の裏や別の紙に、「いつ・どこで・だれが・何をしているか」を一言メモしておくと、お孫さんが見たときに「これがおじいちゃんの子どものころか」とよくわかります。このメモの文章を考えてもらうのも、AIの得意なことです。
昭和35年ごろ、家族で初めて海水浴に行ったときの白黒写真があります。この写真に添える短い説明文を、孫が読んでもわかるように一文で考えてください。
写真整理のくわしいコツは、「シニアの写真整理|ChatGPT7工夫で思い出アルバム」でご紹介しています。スマホで撮った写真の扱い方とあわせて、ぜひのぞいてみてください。
なお、古い写真をデジタルで保存したいときは、図書館や資料館が公開しているお手本も参考になります。国立国会図書館は、昔の写真をデジタルで残す取り組みを公開しています(国立国会図書館デジタルコレクション「写真」2026年6月時点)。
【要注意】よくある失敗パターンと、その直し方
楽しく続けるために、つまずきやすいところと、その直し方をまとめておきます。
失敗1:AIが答えた歴史を、確かめずに孫に伝えてしまう
❌ ChatGPTが「このお祭りは江戸時代から続いています」と答えたのを、そのまま記録に書く。
⭕ 「そういう説があるらしい」とメモしておき、市区町村の公式サイトや郷土資料で確かめてから書く。
なぜ大切か:AIは年号や由来をときどき間違えます。お孫さんに伝わる「わが家の記録」だからこそ、事実は公式の資料で確かめましょう。確かめられなかったことは「言い伝えでは」と書いておけば安心です。
失敗2:自分の思い出まで、AIに作らせてしまう
❌ 「私の子どものころの思い出を書いて」とだけお願いして、AIが書いた架空の話を自分の記録にする。
⭕ 自分が実際に話した内容を「これをやさしくまとめて」とお願いする。
なぜ大切か:あなたが見て覚えていることが、いちばん確かで価値のある記録です。AIはそれを整える役。中身はあなたが出しましょう。
失敗3:一度に全部やろうとして、疲れてしまう
❌ 「ふるさとの歴史を全部まとめて」と大きく構えて、途中でいやになる。
⭕ 「今日は地名の由来だけ」「次は子どものころの夏の思い出だけ」と、ひとつずつ進める。
なぜ大切か:記録づくりは、ゆっくり続けるのが続けるコツ。小さく区切って、お茶でも飲みながら、一つずつで十分です。
まとめ:今日から始める3つのこと
ふるさとの歴史と昔の暮らしをChatGPTで深掘りし、お孫さんに残す。むずかしそうに見えて、はじめの一歩はとても小さなものです。今日できることを、3つにまとめました。
- 気になっている地名やお祭りを、ひとつChatGPTに聞いてみる(「わからないことは正直に」と一言そえて)
- 子どものころの思い出を、AIに質問してもらいながらひとつ書き出す(中身はあなた、形はAI)
- 大事なことは、図書館の郷土資料コーナーか市区町村の公式サイトで確かめる(司書さんに相談すると早いです)
ChatGPTは、調べもののとっかかりを作り、思い出を言葉に整えてくれる、心強い相棒です。けれど、ふるさとの本当の物語を知っているのは、そこで暮らしてきたあなた自身。AIの力を借りながら、あなたの記憶を、お孫さんに伝わる「わが家の歴史」として、ゆっくり残していってください。きっと、何よりの贈り物になります。
パソコンやスマホの操作で困ったときは、お子さんやお孫さんに「一緒にやってみよう」と声をかけてみるのもおすすめです。ふるさとの話をしながらの調べものは、世代をこえた、あたたかい時間にもなりますよ。
よくある質問(FAQ)
Q1. ChatGPTが教えてくれた地名の由来やお祭りの起源は、信じて大丈夫ですか?
「とっかかり」としては役立ちますが、そのまま信じるのは禁物です。ChatGPTは歴史の事実をときどき間違えたり、作り話をしたりします。お孫さんに伝えたり文章に残したりする大事なことは、市区町村の公式サイト・郷土資料館・図書館の郷土資料コーナー・地元の郷土史会で必ず確かめてください。
Q2. 自分の子どものころの思い出も、ChatGPTに書いてもらっていいのですか?
思い出の「中身」はご自身が話し、ChatGPTには「文章を整える役」をお願いするのが正しい使い方です。「これをやさしくまとめて」とお願いすれば、あなたの本当の思い出がやさしい文章になります。逆に、何も話さず「思い出話を書いて」と頼むと、架空の話になってしまうので気をつけましょう。
Q3. 個人情報を入れてしまわないか心配です。何に気をつければいいですか?
自分や家族の名前・住所(番地まで)・電話番号などは、ChatGPTに入れないでください。「○○市の昔の様子」のように、市区町村くらいまでの範囲で聞けば十分です。お孫さんの名前を入れたいときは、文章ができあがってから、ご自身で書き加えれば安全です。
Q4. 図書館で郷土資料を調べたいのですが、初心者でも大丈夫ですか?
大丈夫です。多くの図書館には「郷土資料コーナー」があり、司書さんに「この町の歴史を調べたい」と伝えれば、ぴったりの本を案内してくれます。事前にChatGPTで「聞きたいことリスト」を作っておくと、相談がスムーズです。調べ方は国立国会図書館「リサーチ・ナビ」のページも参考になります。
Q5. パソコンやスマホの操作が苦手でも、始められますか?
はい。文字を打つのが苦手な方は、ChatGPTに声で話しかける「音声入力」も使えます。最初はお子さんやお孫さんに一緒にやってもらうのもおすすめです。ふるさとの話をしながらの調べものは、ご家族との楽しい時間にもなります。少しずつで構いませんので、気軽に始めてみてください。
参考にした情報・出典
- 総務省「上手にネットと付き合おう!~安心・安全なインターネット利用ガイド~」(2026年6月時点)
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ「地域・郷土の歴史を調べる」(2026年6月時点)
- 文化庁「民俗文化財」(2026年6月時点)
- 国立国会図書館デジタルコレクション「写真」(2026年6月時点)
著者プロフィール
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を行い、シニア世代へのやさしいAIの伝え方にも力を入れています。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。