結論:いまの詐欺電話は、AI(人工知能)で家族そっくりの「声」まで作れる時代に入りました。だからこそ、「声だけで本人と思い込まない」こと、そして家族だけの合言葉・かけ直しルール・留守番電話の3つを先に決めておくことが、いちばんの備えになります。
- 要点1:セキュリティ企業McAfee(マカフィー)の研究では、わずか3秒の音声データから、本人と85%一致する「そっくりの声」が作れたと報告されています(2023年公表)
- 要点2:警察庁の発表(2026年2月)では、2025年の特殊詐欺の被害額は約1,414.2億円と前年から96.7%増え、過去最悪になりました。電話で「お金」の話が出たら、まず疑ってよい時代です
- 要点3:対策はむずかしくありません。「家族だけの合言葉を決める」「いったん切って、登録してある番号にかけ直す」「ふだんから留守番電話にしておく」。この3つは今日から始められます
対象読者:電話やスマホをよく使うシニアご本人(60代〜80代)と、離れて暮らす親を詐欺から守りたい子・孫世代(30代〜50代)
今日やること:家族に電話かLINE(ライン)で連絡して、「お金の話が電話で出たら、いったん切ってかけ直す」ことをお互いに約束してください。これだけで防げる被害があります
「もしもし、オレだけど……」の声が、本当に息子さんの声そっくりだったら、あなたは見抜けるでしょうか。
これまでのオレオレ詐欺は、「声が違う気がする」「話し方がおかしい」と気づいて助かった方がたくさんいました。ところが今は、AI(人工知能)を使って、数秒の音声サンプルから本人そっくりの声を複製(ふくせい)できるようになっています。いわば「AI版オレオレ詐欺」です。海外ではすでに、家族の声をまねた電話でお金をだまし取られる被害が数多く報告されています。
日本でも他人事(ひとごと)ではありません。警察庁が2026年2月に公表した最新データでは、2025年の特殊詐欺(電話などを使った詐欺)の被害額は約1,414.2億円。前年からほぼ2倍に増え、過去最悪を更新しました。手口は年々巧妙(こうみょう)になっています。
私たちはふだん、シニアの方やそのご家族からAIやスマホの相談を受けていますが、最近とくに増えたのが「AIで声までまねできるって本当ですか?」「親を守るにはどうすればいいですか?」という質問です。この記事では、AI音声詐欺の仕組みと見分け方、そして家族で今日から決められる防衛策を、やさしい言葉でていねいに解説します。
はじめに大切なことをお伝えします。この記事は「不安をあおる」ためのものではありません。仕組みを知って、家族でルールを決めておけば、あわてずに対応できるようになります。万が一お金を払ってしまった・個人情報を伝えてしまった場合は、一人で抱え込まず、必ず警察(電話110、相談は#9110)や消費者ホットライン(188)などの公的な窓口に相談してください。
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AI音声詐欺(AI版オレオレ詐欺)とは——数秒の声で「そっくりの声」が作れる
たった3秒の音声で、85%一致する声が作れる
AI音声詐欺とは、AIの「音声クローン(声の複製)」技術を悪用して、家族や知人そっくりの声で電話をかけ、お金をだまし取る手口です。
セキュリティ企業のMcAfee(マカフィー)が2023年に公表した調査レポート「Beware the Artificial Impostor」では、研究者がわずか3秒の音声データから、元の声と85%一致する複製音声を作れたと報告されています。さらに、いくつかの音声ファイルでAIに学習させると、一致度は95%まで上がったそうです。
同じ調査では、世界9か国(日本を含む)の7,000人にアンケートを行ったところ、4人に1人が「AI音声詐欺を自分が経験した、または経験した人を知っている」と答えました。また、70%の人が「複製された声と本物の声を聞き分ける自信がない」と回答しています。プロでも聞き分けがむずかしい――それがAI音声の現実です。
声は、どこから盗まれるのか
「うちの家族の声なんて、どこにもないでしょう」と思うかもしれません。ところが、声は意外なところから集められます。
- SNSや動画サイト:お子さんやお孫さんがInstagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)に投稿した動画の声
- 留守番電話の応答メッセージ:自分の名前を名乗っている応答音声
- 不審な電話そのもの:「アンケートです」などと言って会話を録音し、声を集める手口も指摘されています
つまり、ふつうに生活しているだけでも、声が外に出る機会はあります。「声を完全に隠す」ことは現実的ではないので、「声が複製されても、だまされない仕組み」を家族で作ることが大切なのです。
従来のオレオレ詐欺との違い
| 項目 | 従来のオレオレ詐欺 | AI音声詐欺(AI版オレオレ詐欺) |
|---|---|---|
| 声 | 他人の声。「風邪をひいた」などと言ってごまかす | 本人そっくりの声を作れる場合がある |
| 見分けるポイント | 声や話し方の違和感に気づける場合があった | 声の違和感だけでは見抜きにくい |
| 話の内容 | 「お金が今すぐ必要」「誰にも言わないで」と急かす | 同じ。話の中身の不自然さは変わらない |
| 有効な対策 | かけ直し・留守番電話・家族の相談 | 同じ対策が有効。さらに「合言葉」が効く |
表を見ていただくと分かるとおり、変わったのは「声」だけです。「お金を急がせる」「秘密にさせる」という詐欺の本質は変わっていません。だからこそ、声以外のところで確認する習慣が、最大の防御になります。
事例区分:想定シナリオ
以下は、警察庁や消費者庁が注意を呼びかけている手口をもとに構成した「典型的な流れ」のモデルケースです。ある日の夕方、固定電話が鳴ります。出ると、息子さんそっくりの声で「もしもし、オレ。スマホを落としちゃって、友だちの電話を借りてるんだ」。番号が違う理由が先回りで説明されます。その後、「実は仕事でトラブルがあって、今日中にお金が必要なんだ。誰にも言わないで」と続きます。声が本人そっくりなので、つい信じてしまいそうになる――これがAI音声詐欺の怖さです。
被害は過去最悪——警察庁の最新データで分かること
警察庁が2026年2月に公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」から、主な数字をご紹介します。
| 項目 | 2025年(令和7年)の数字 | 前年との比較 |
|---|---|---|
| 特殊詐欺の認知件数 | 27,758件 | 31.9%増 |
| 特殊詐欺の被害額 | 約1,414.2億円 | 96.7%増(過去最悪) |
| うち「ニセ警察詐欺」の被害額 | 約985.4億円 | 特殊詐欺被害全体の約7割 |
| SNS型投資詐欺の被害額 | 約1,274.7億円 | 46.3%増 |
| SNS型ロマンス詐欺の被害額 | 約552.2億円 | 37.8%増 |
(出典:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ 2026年2月公表の広報資料。数字は暫定値です)
注目していただきたいのは、オレオレ詐欺型の手口が今も主役だということです。2025年のオレオレ詐欺の認知件数は14,393件。その7割以上が、警察官をかたる「ニセ警察詐欺」でした。電話の相手が「家族」でも「警察」でも、電話だけでお金や個人情報の話を進めようとしたら、それは詐欺を疑うサインです。
また、消費者庁も2026年1月9日に「消費者庁職員を騙(かた)る不審な電話」への注意喚起を公表しました。自動音声のあとに職員を名乗る人物が出てくるパターンや、国際電話番号からかかってくるパターンが報告されています。消費者庁は「電話で個人情報の提供を求めることは一切ありません」と明言しています。役所や警察を名乗る電話で個人情報を聞かれたら、その場では答えず、いったん切ってください。
「声だけで本人と思い込まない」——AI音声詐欺を見分ける5つのサイン
声がそっくりでも、詐欺の電話には共通する「サイン」があります。次の5つを覚えておきましょう。
サイン1:「お金」「暗証番号」「個人情報」の話が出る
家族・警察・役所・銀行、誰を名乗っていても、電話だけでお金を動かす話や、暗証番号・口座番号・マイナンバーを聞く話が出たら、その時点で詐欺を疑ってください。本物の警察や役所が、電話だけでお金や暗証番号を求めることはありません。
サイン2:「今すぐ」「今日中に」と急かしてくる
「今日中に振り込まないと大変なことになる」「今すぐ決めて」。急かすのは、あなたに考える時間と相談する時間を与えないためです。本当に大事な用件なら、1時間待ってもらっても問題はありません。急かされたら、むしろ「あやしい」と立ち止まる習慣をつけましょう。
サイン3:「誰にも言わないで」と口止めする
「恥ずかしいから誰にも言わないで」「捜査中だから秘密に」。口止めは、家族や警察に相談されると困る詐欺師の常とう手段です。口止めされたら、逆にすぐ家族に相談してください。
サイン4:いつもと違う電話番号・非通知・国際電話からかかってくる
「スマホを落とした」「会社の電話から」など、番号が違う理由を先回りで説明してくるのも典型的な手口です。また、消費者庁の注意喚起にもあったように、「+」から始まる国際電話番号や非通知の着信にも注意が必要です。番号が違う時点で、いったん切ってかけ直すのが正解です。
サイン5:会話が少しかみ合わない・あなたからの質問に弱い
AIで作った音声は、用意したセリフを話すのは得意ですが、こちらからの予想外の質問には対応しにくい場合があります。「この前一緒に行った場所、どこだったかしら?」のように、家族にしか分からない質問を自分からしてみるのは有効です。ただし、答えられたとしても安心はできません。最後は次の章の「かけ直し」で確認してください。
電話を切ったあとに内容を整理したいときは、シニアの詐欺電話対策|ChatGPTで聞く前チェックリストも合わせてお読みください。
家族で今日決められる3つの防衛策——合言葉・かけ直し・留守番電話
ここからが本題です。AI音声詐欺への備えは、特別な機械もお金も必要ありません。家族の「約束ごと」3つで、被害にあう危険を大きく減らせます。
防衛策1:家族だけの「合言葉」を決める
合言葉とは、電話の相手が本当に家族かどうかを確かめるための、家族しか知らない質問と答えのことです。海外では、AI音声詐欺への備えとして広く呼びかけられている方法です。
決め方のコツは3つあります。
- 家族しか知らない思い出にする:「初めて家族旅行で行った温泉は?」「飼っていた犬の名前は?」など。SNSや年賀状に書いたことのある内容は避けます
- 本人がとっさに答えられるものにする:むずかしい暗号ではなく、家族なら必ず即答できる質問にします
- 電話で合言葉を「変更」しない:「合言葉を新しくしよう」という電話があったら、それ自体を疑ってください。合言葉は、顔を合わせたときか、家族そろったLINEグループなど確実な方法でだけ決め直します
私たちがシニアの方のサポートでこの話をすると、「合言葉なんて大げさ」と最初は笑う方が多いのですが、決めたあとは「これで安心して電話に出られる」と表情が変わります。合言葉は、家族を疑うためのものではなく、安心して信じるための道具です。
大切な注意:決めた合言葉そのものは、紙に書いて電話のそばに貼ったりせず、家族の頭の中だけに置いてください。また、後ほど紹介するChatGPTなどのAIにも、実際の合言葉は入力しないでください。
防衛策2:「いったん切って、かけ直す」をルールにする
どんなに声が本物そっくりでも、電話帳に登録してある本人の番号にかけ直せば、相手が本物かどうかを自分の手で確かめられます。これがいちばん強力で、いちばん簡単な対策です。
- お金や個人情報の話が出たら、「あとでかけ直すね」と言って、いったん切ります
- 相手が言った番号ではなく、自分の電話帳に登録してある家族の番号にかけ直します
- 本人につながらないときは、ほかの家族に連絡して確認します
- 誰にも確認できないうちは、絶対にお金を動かしません
ポイントは2番です。詐欺師は「この番号にかけ直して」と自分たちの番号を案内してきます。かけ直す先は、必ず「自分が前から知っている番号」。これだけは家族全員で徹底しましょう。
防衛策3:ふだんから留守番電話にしておく
警察庁の特殊詐欺対策ページ(SOS47)でも、在宅中でも電話を留守番電話設定にしておき、相手を確かめてから出る方法や、迷惑電話防止機能の付いた電話機の利用が紹介されています。詐欺の犯人は、自分の声が録音されることを嫌うため、留守番電話や「この通話は録音されます」という警告メッセージには強い抑止効果があるとされています。
- 知らない番号からの電話には、すぐに出ない
- 本当に用事のある相手なら、メッセージを残してくれます
- メッセージを聞いてから、こちらの判断でかけ直せば安全です
「留守電にすると失礼かしら」と気にされる方も多いのですが、今は防犯のために留守番電話を活用する家庭が増えています。ご自身と家族を守るための設定だと考えてください。
ChatGPTを「相談相手」にする——コピペで使える指示文5つ
ChatGPT(チャットジーピーティー)は、あやしい電話の内容を整理したり、家族のルール作りを手伝ったりする「相談相手」として役立ちます。ここでは、そのまま貼り付けて使える指示文(プロンプト)を5つご紹介します。
使う前の約束ごと:氏名・住所・電話番号・口座情報・実際の合言葉などの個人情報は入力しません。そしてChatGPTの答えは参考情報であり、最終的な判断は家族や警察・消費生活センターなどの公的な窓口で行ってください。
指示文1:かかってきた電話があやしいか整理してもらう
さきほど、こんな電話がかかってきました。
詐欺の可能性があるか、気をつけるべき点をやさしい言葉で教えてください。
名前などの個人情報は「(伏せ字)」に置きかえています。
【電話の内容をここに書く。例:息子を名乗る人から「スマホを落とした。今日中にお金が必要」と言われた】
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
「番号が違う」「急かしてくる」など、あやしいポイントを整理して教えてくれます。電話を切ったあと、家族や警察相談専用電話(#9110)に相談する前の頭の整理に役立ちます。
指示文2:家族の合言葉の「決め方」を相談する
AI音声詐欺への備えとして、家族の合言葉を決めたいです。
どんな種類の質問が合言葉に向いているか、考え方のコツを5つ教えてください。
実際の合言葉はここでは決めず、あとで家族だけで決めます。
仮定した点は必ず「仮定」と明記してください。
大切なのは、実際の合言葉はAIに入力せず、家族だけで決めることです。ChatGPTには「決め方のコツ」だけを相談しましょう。
指示文3:親に説明するための「やさしい説明文」を作る(子世代向け)
離れて暮らす70代の親に、AI音声詐欺(家族そっくりの声を作る詐欺)への
注意を伝えたいです。不安をあおらず、やさしい言葉で、
電話で読み上げられる長さの説明文を作ってください。
「いったん切って、登録してある番号にかけ直す」というルールの提案も入れてください。
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
「詐欺に気をつけて」とだけ言われても、親世代は何をすればよいか分かりません。具体的なルールの形で伝えるのがコツです。
指示文4:電話のそばに貼る「わが家のルールメモ」を作る
電話のそばに貼っておく「詐欺対策のわが家のルール」メモを作ってください。
条件:
・大きな文字で読みやすいように、短い箇条書きで5項目以内
・「お金の話が出たら、いったん切る」「登録した番号にかけ直す」
「迷ったら家族と#9110に相談」を必ず入れる
・合言葉そのものは書かない
仮定した点は必ず「仮定」と明記してください。
できあがった文章を大きめの字で印刷して、固定電話のそばに貼っておくと、いざというとき落ち着いて行動できます。
指示文5:警察や消費生活センターに相談する前の準備をする
あやしい電話があったので、警察相談専用電話(#9110)に相談する予定です。
相談がスムーズに進むように、伝えるべきことを質問リストの形で
整理してください。私がメモした内容は次のとおりです。
【日時・相手の名乗り・話の内容・電話番号などをここに書く】
数字と固有名詞は、根拠(出典/計算式)を添えてください。
不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。
「いつ・誰を名乗って・何を言われたか」が整理されていると、相談先でのやりとりがぐっと楽になります。
SMS(ショートメッセージ)で届くあやしい連絡の見分け方は、シニアの詐欺SMS対策|ChatGPTで怪しいメッセージを判別で詳しく解説しています。
【要注意】よくある失敗パターンと回避策
シニアの方やご家族のサポートの中でよく見聞きする、「惜しい」失敗パターンを4つご紹介します。
失敗1:「家族の声くらい、聞けば分かる」と思い込む
❌ 「私は耳がいいから、息子の声を間違えるはずがない」
⭕ 「声がそっくりでも、お金の話が出たら、いったん切ってかけ直す」
なぜ重要か:McAfeeの調査では、世界の回答者の70%が「複製された声と本物を聞き分ける自信がない」と答えています。聞き分けられるかどうかの勝負にせず、「声では判断しない」ルールにしてしまうのが安全です。
失敗2:合言葉を、聞かれるままに自分から教えてしまう
❌ 相手に「合言葉を言ってみて」と言われて、自分から合言葉を口にする
⭕ 合言葉は「こちらから質問して、相手に答えさせる」ために使う
なぜ重要か:自分から合言葉を言ってしまうと、その通話が詐欺だった場合、合言葉ごと盗まれてしまいます。合言葉は必ず「質問する側」として使いましょう。万が一、電話で合言葉を言ってしまったら、家族で集まって新しいものに決め直してください。
失敗3:「かけ直し」を相手の言った番号にしてしまう
❌ 「この番号にかけ直して」と言われた番号に、そのままかけ直す
⭕ 自分の電話帳に登録してある、前から知っている番号にかけ直す
なぜ重要か:詐欺グループは、かけ直し先まで用意しています。相手の案内した番号にかけても、待っているのは仲間の詐欺師です。かけ直し先は「自分が知っている番号」だけ。これは絶対のルールです。
失敗4:「だまされかけた」ことを恥ずかしくて隠してしまう
❌ 「こんな電話に迷った自分が恥ずかしい」と、誰にも話さない
⭕ 未遂でも家族に共有し、必要なら#9110に情報提供する
なぜ重要か:詐欺の電話は、同じ地域に集中してかかることが知られています。あなたの「あやしい電話があった」という一言が、ご近所やほかの家族を守ることにつながります。だまされかけるのは、注意が足りないからではありません。手口がそれだけ巧妙だからです。
もし被害にあってしまったら——ためらわず公的な窓口へ
万が一お金を振り込んでしまった、個人情報を伝えてしまったという場合は、1分でも早い相談が大切です。次の窓口に連絡してください。
| 状況 | 連絡先 | 内容 |
|---|---|---|
| お金をだまし取られた・事件性がある | 警察 110 | 緊急の通報 |
| あやしい電話の相談・情報提供 | 警察相談専用電話 #9110 | 緊急ではない警察相談 |
| 消費者トラブル全般の相談 | 消費者ホットライン 188 | 最寄りの消費生活センターにつながる |
| 振り込んでしまった | 振込先・自分の取引銀行 | すぐに連絡し、対応を相談する |
| クレジットカード情報を伝えた | カード会社 | カードの利用停止を相談する |
銀行への連絡は、被害のお金を取り戻せる可能性に関わります。「恥ずかしい」「家族に怒られそう」とためらう時間が、いちばんもったいないのです。被害にあったあなたは悪くありません。悪いのは100%詐欺師です。
家族(子世代・孫世代)がサポートするときのコツ
離れて暮らす親御さんを守りたい30代〜50代の方に、サポートのコツを3つお伝えします。
- 「詐欺に気をつけて」ではなく「ルール」を渡す:抽象的な注意より、「お金の話が出たら切って、私の番号にかけ直して」という具体的な約束のほうが、ずっと実行しやすくなります
- 合言葉決めを「楽しいイベント」にする:帰省や家族の集まりのときに、思い出話をしながら決めるのがおすすめです。怖い話としてではなく、家族の思い出を確かめ合う時間にすると、自然に続きます
- 自分の声の出どころにも気を配る:子世代・孫世代がSNSに投稿した動画の声が複製の材料になり得ます。家族に「自分の声がネット上にある」人がいるなら、なおさら合言葉とかけ直しルールが大切です
留守番電話や迷惑電話防止機能付き電話機の設定は、帰省のタイミングで子世代が手伝ってあげると確実です。あわせて、ご自宅の防犯全般はシニアの防犯・見守りをChatGPTで|空き巣対策7ステップも参考になります。
よくある質問(FAQ)
AI音声詐欺の声は、どのくらい本物に聞こえるのですか?
McAfeeの2023年の調査では、3秒の音声から85%一致する複製が作れたと報告されています。また回答者の70%が「本物と聞き分ける自信がない」と答えました。聞き分けようとせず、「お金の話が出たら、かけ直して確認する」ことを基本にしてください。
合言葉は、どんな言葉にすればよいですか?
家族しか知らない思い出に関する質問と答えがおすすめです。SNSや年賀状に書いたことのある内容は避けてください。また、決めた合言葉は紙に貼り出したり、ChatGPTなどのAIに入力したりしないでください。
ふだんから留守番電話にしておくのは、失礼ではありませんか?
失礼ではありません。警察庁の特殊詐欺対策ページ(SOS47)でも、在宅中の留守番電話設定や迷惑電話防止機能付き電話機が対策として紹介されています。本当に用事のある相手はメッセージを残してくれますので、聞いてからかけ直せば大丈夫です。
子どもの声で「助けて」と泣きながら電話が来たら、どうすればよいですか?
とてもつらい状況ですが、まず深呼吸して、いったん電話を切ってください。そして電話帳に登録してある本人の番号にかけ直します。つながらなくても、ほかの家族に連絡して確認し、誰にも確認できないうちは絶対にお金を動かさないでください。迷ったら#9110(警察相談専用電話)に相談できます。
ChatGPTに相談するとき、気をつけることはありますか?
氏名・住所・電話番号・口座情報・実際の合言葉などの個人情報は入力しないでください。ChatGPTは状況を整理する相談相手であり、詐欺かどうかを保証する判断者ではありません。最終的な確認は、家族へのかけ直しと公的な窓口で行ってください。
もうお金を振り込んでしまいました。どうすればよいですか?
すぐに警察(110)に連絡し、あわせて振込先と自分の取引銀行にも連絡して対応を相談してください。消費者ホットライン(188)でも相談できます。連絡が早いほど、取れる手立ては増えます。一人で抱え込まないことがいちばん大切です。
参考・出典
- 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値) — 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ(参照日: 2026-06-11)
- 防犯機能付き電話の導入 — 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ(参照日: 2026-06-11)
- 消費者庁職員を騙る不審な電話にご注意ください — 消費者庁(2026年1月9日公表、参照日: 2026-06-11)
- Artificial Imposters—Cybercriminals Turn to AI Voice Cloning for a New Breed of Scam — McAfee公式ブログ(2023年、参照日: 2026-06-11)
- Beware the Artificial Impostor(調査レポートPDF) — McAfee(9か国7,000人調査・2023年、参照日: 2026-06-11)
まとめ:今日から始める3つのアクション
AIで声が複製できる時代でも、対策の基本はシンプルです。「声だけで本人と思い込まない」。これに尽きます。
- 今日やること:家族に電話かLINEで連絡して、「電話でお金の話が出たら、いったん切って、登録してある番号にかけ直す」ことをお互いに約束しましょう
- 今週中:固定電話とスマホを、ふだんから留守番電話設定にしましょう。設定が分からなければ、家族に手伝ってもらってください
- 今月中:家族が集まる機会やビデオ通話で、家族だけの合言葉を決めましょう。あわせて#9110と188を電話帳に登録しておくと、いざというとき安心です
次回予告:次の記事では「シニアのスマホに入れておきたい安心設定」をテーマに、迷惑電話・迷惑メッセージをスマホ側でブロックする方法をお届けします。
著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AI(人工知能)の可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー約10万人)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開し、シニアの方への個別サポートにも力を入れています。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆。
ご質問・ご相談は お問い合わせフォーム からお気軽にどうぞ。「親と合言葉をどう決めればいいか」「留守番電話の設定を知りたい」など、どんな小さなことでもお答えします。
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