結論:病院に行く前に「伝えたいこと」と「聞きたいこと」をChatGPTで一枚にまとめておくと、診察がぐっと落ち着いて進みます。
この記事でわかる3つの要点はこちらです。
- 症状や体の調子の移り変わりを、ChatGPT(チャットGPT=AIとの会話アプリ)で短く整理できます
- 医師に聞きたいこと、持ち物、当日の流れまで、スマホひとつで準備できます
- 主役はあくまでご本人と医師です。AIは「準備のお手伝い」役にとどめます
こんな方へ:診察室に入ると言いたいことを忘れてしまう方、付き添うご家族、ひとりで受診するシニアの方。
今日やること:次の通院日と、気になっている症状を3つ、スマホのメモに書き出すだけでOKです。
「先生の前に座ったら、言いたいことが半分も出てこなかった」——通院のあとに、そんなため息をついた経験はありませんか。わたしが一緒にスマホを触ってきたシニアの方からも、「診察はあっという間に終わって、家に帰ってから聞き忘れに気づく」という声をよく聞きます。
これは、年齢のせいでも、頭の問題でもありません。診察室は少し緊張する場所ですし、症状を言葉にするのは、もともと誰にとっても難しいことなんです。だからこそ、家を出る前に落ち着いて「準備の一枚」を作っておくことが、いちばんの近道になります。
2026年6月時点では、ChatGPTのようなAI(人工知能=人のように文章をやりとりできる道具)が、その「準備の一枚」を作るお手伝いをしてくれます。むずかしい操作はいりません。スマホに話しかける、または短く打ち込むだけです。この記事では、その具体的なやり方を、会話例を見ながら一緒に進めていきます。
最初に大切なお約束をひとつ。AIは病気を見つけたり、治したり、お薬を決めたりはできません。診断・治療・お薬の判断は、必ず医師や薬剤師にお任せします。AIがしてくれるのは、あなたの言葉を「伝わりやすく整える」ことだけ。ここを忘れなければ、安心して使えます。
そもそも、通院の準備にAIは何をしてくれるの?
「AIに病院のことを相談する」と聞くと、なんだか大げさに感じるかもしれません。でも、やってもらうことはとてもシンプルです。次の3つだけ覚えておけば十分です。
① 症状や経過を、短い言葉に整理してくれる
「3日前から、朝起きると右の膝が痛い。階段をのぼるときがいちばんつらい」——こんなふうに頭の中にあることを話すと、診察で伝えやすい形にまとめてくれます。
② 医師に聞きたいことを、書き出してくれる
「この薬は飲み続けて大丈夫か」「次はいつ来ればいいか」。聞きたいのに忘れがちなことを、リストにしてくれます。
③ むずかしい言葉を、やさしく言いかえてくれる
検査の名前や病名など、聞いたことのない言葉を「どういう意味か」だけ、ふだんの言葉で説明してくれます。
逆に、AIにさせないこともはっきりさせておきましょう。「これは何の病気か」「この症状は危ないか」といった判断はお願いしません。それは医師の役目です。AIは、あくまであなたと医師の橋渡しをする「準備係」だと考えてください。
スマホでの始め方|むずかしい設定はいりません
「アプリを入れるのが不安」という方も大丈夫です。手順を一つずつ進めれば、5分ほどで使い始められます。
- スマホの「App Store」(iPhoneの方)または「Google Play」(Androidの方)を開きます
- 上の検索らんに「ChatGPT」と打ち込みます。青と白の丸いマークが目印です
- 「入手」または「インストール」を押して、しばらく待ちます
- アプリを開き、メールアドレスかGoogleのアカウントで「登録」します。ここはお子さん・お孫さんに頼ってもまったく問題ありません
- 下の入力らんに文字を打つか、マイクのマークを押して話しかければ、すぐに使えます
無料でも十分に使えます。文字を打つのが大変なら、マイクのマークを押して声で話しかけるのがおすすめです。「えーっと」と考えながら話しても、ちゃんと聞き取ってくれます。設定や始め方をもっとていねいに知りたい方は、高齢者のためのChatGPT入門|家族と始める安心5ステップもあわせてご覧ください。
大切な注意:ここで入力するのは「症状の様子」や「聞きたいこと」までにします。マイナンバー、保険証の番号、検査結果の細かい数値、住所などの個人情報は、入れないでおきましょう。後ほどくわしくお伝えします。

会話例①|症状や経過を伝えやすく整理してもらう
では、いよいよ実際の使い方です。ここからは「こう打つ(話す)→こう返ってくる」という会話例を見ていきます。まず、いちばん大事な「症状の整理」からです。
頭の中にあることを、思いつくままに話して大丈夫です。順番がバラバラでも、AIが整えてくれます。
👤 あなたが打つ(話す):
「来週、かかりつけのお医者さんに行きます。3日前くらいから、朝起きると右の膝が痛いです。歩き始めはこわばって、階段をのぼるときがいちばんつらいです。夕方になると少し楽になります。この内容を、お医者さんに短く伝えられるように整理してください。」
🤖 ChatGPTの返事(例):
「診察で伝えやすいように、3点にまとめました。①いつから:3日前から。②どこが・どんなふうに:右膝の痛み。朝起きたときにこわばり、階段の上りでいちばん強い。③変化:夕方には少し楽になる。このまま読み上げれば、要点が伝わります。」
いかがでしょう。バラバラだった話が、「いつから・どこが・どう変化したか」という、医師が知りたい順番に並びました。これをスマホの画面のまま診察室に持っていくか、紙に書き写しておけば、緊張しても言葉に詰まりません。
このとき、AIに「右膝の痛みは何の病気ですか」とは聞かないでください。原因の見立ては医師の仕事です。あくまで「伝え方を整える」までにとどめます。
会話例②|医師に聞きたいことを書き出してもらう
診察のあとで「あれを聞き忘れた」と気づく——これがいちばん多い後悔です。家を出る前に、聞きたいことをリストにしておきましょう。
👤 あなたが打つ(話す):
「今飲んでいる血圧の薬を、これからも続けていいのか心配です。あと、次はいつ受診すればいいか、生活で気をつけることは何か、お医者さんに聞きたいです。診察で質問しやすいように、短いリストにしてください。」
🤖 ChatGPTの返事(例):
「先生に聞く質問リストです。①今の血圧の薬は、このまま続けて大丈夫でしょうか。②次の受診はいつごろがよいですか。③ふだんの生活で、気をつけたほうがよいことはありますか。④もし調子が悪くなったら、どんなときに連絡すればよいですか。この4つを順に聞いてみてください。」
このリストがあると、緊張していても「上から順に読むだけ」で聞きたいことが伝わります。最後の④のように、「どんなときに連絡・受診すればいいか」を必ず入れておくと、家に帰ってからも安心です。日本医師会も「かかりつけ医」に気軽に相談することの大切さを案内しています(記事末の出典をご覧ください)。
お薬についての質問をもっとていねいに準備したい方は、シニアの薬メモをChatGPTで整理|医師・薬剤師に聞く質問リストも参考になります。
会話例③|むずかしい言葉をやさしく説明してもらう
受診案内や問診票に、見慣れない言葉が出てくることがあります。「これ、どういう意味だろう」と思ったときも、AIが助けてくれます。
👤 あなたが打つ(話す):
「病院からの案内に『絶食して来てください』と書いてありました。どういう意味か、シニアにもわかるようにやさしく教えてください。」
🤖 ChatGPTの返事(例):
「『絶食(ぜっしょく)』は、検査や診察の前に食事をしないで来てください、という意味です。何時間前から食べないか、水やお茶は飲んでよいかは、病院によって違います。正確なことは、案内に書かれた電話番号で病院に直接ご確認ください。」
このように、AIは「言葉の意味」だけをやさしく教えてくれます。ただし「自分の場合はどうすればいいか」という具体的な指示は、必ず病院に電話して確かめてください。AIの説明はあくまで一般的な目安で、間違いが混じることもあります。最後は人(医師・看護師・病院の窓口)に確認する——この一手間が、行き違いを防ぎます。
診察メモと持ち物を、家を出る前に整える
準備した内容を、当日にあわてず持っていけるよう、最後にひとまとめにします。これもAIに手伝ってもらえます。
- 会話例①で作った「症状の整理」と、会話例②の「質問リスト」を、ひとつの画面にまとめます
- ChatGPTに「この2つを、A4の紙1枚に書き写せるよう、診察メモとしてまとめてください」とお願いします
- できあがったメモを、紙に書き写すか、スマホの画面で開けるようにしておきます
- 持ち物も「忘れ物がないか確認したいので、通院の持ち物リストを作ってください」と頼めば、下の例のように出してくれます
🤖 ChatGPTが作る持ち物リスト(例):
「通院の持ち物リストです。①健康保険証(またはマイナ保険証)②診察券 ③お薬手帳 ④いま飲んでいるお薬(または写真)⑤今日の症状メモと質問リスト ⑥お金・財布 ⑦メガネ・補聴器など。前の晩に玄関に置いておくと、当日あわてません。」
このメモがあると、診察室で「順番に読むだけ」で済みます。声に出して読むのが恥ずかしいときは、メモをそっと先生にお見せしても大丈夫です。
保険証まわりの準備はマイナ保険証をChatGPTで整理|受診準備7ステップ、いつものお薬の管理はお薬の管理・飲み忘れ防止をChatGPTで|お薬手帳の整理もあわせてどうぞ。
気をつけたいこと|AIに頼ってはいけない4つの場面
ここがいちばん大切なところです。便利なAIですが、してはいけない使い方があります。下の4つは必ず守ってください。
❌ 自分で病気を決めつける(自己診断)
⭕ 「この症状は何の病気か」とAIに聞いて、それを信じてしまうのは危険です。AIの情報には誤りが混じることがあります。見立ては必ず医師にお任せします。
❌ お薬の量を自分で変える・やめる
⭕ 「もう治った気がするから薬をやめよう」とAIに相談して決めるのはやめましょう。お薬のことは医師・薬剤師に必ず確認します。
❌ 個人情報や検査結果の数値を入力する
⭕ マイナンバー、保険証番号、住所、検査結果の細かい数値などは入れないでおきます。入力するのは「症状の様子」と「聞きたいこと」までにします。
❌ 症状が強い・急ぐときにAIで様子を見る
⭕ 胸の強い痛み、息が苦しい、ろれつが回らない、片側の手足が動かない、強い頭痛などがあるときは、AIに相談している場合ではありません。すぐに医療機関を受診するか、ためらわず救急(119番)に電話してください。迷ったときは、全国どこからでもかけられる「#7119」(救急安心センター事業・実施地域)に相談する方法もあります。
不安をあおりたいのではありません。AIは「ふだんの準備」を助ける道具であって、「いざというとき」の判断をする道具ではない——この線引きだけ覚えておけば、安心して使えます。
まとめ|準備の一枚が、診察を落ち着いたものに変える
通院や受診で大切なのは、立派な言葉で話すことではありません。「いつから・どこが・どう変わったか」と「聞きたいこと」が、ちゃんと伝わることです。ChatGPTは、その準備を静かに手伝ってくれます。
主役は、あなたと、あなたを診てくれる医師です。AIはそのあいだに立つ「準備係」。次の通院のときに、症状を3つと聞きたいことを2つ、AIに整理してもらうところから始めてみてください。きっと、診察室での時間が少し落ち着いたものになります。
今日から始める3つのアクション:
- 次の通院日を確認し、気になっている症状を3つ、スマホのメモに書き出す
- その3つをChatGPTに話して、「いつから・どこが・どう変化したか」に整理してもらう
- 医師に聞きたいことを2つ、AIにリストにしてもらい、診察メモとして持っていく
Uravationでは、シニアの方がご自身のペースでスマホとAIに慣れていけるよう、やさしい個別レッスンもご用意しています。「最初の一歩が不安」という方は、お子さん・お孫さんと一緒に、無料のメールガイドからのぞいてみてください。次回は「お薬の飲み忘れを防ぐ、もっとかんたんな工夫」をお届けする予定です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 準備したメモは、紙とスマホ、どちらで持っていけばいいですか?
どちらでも大丈夫です。画面の文字が見えにくい方は、大きめの字で紙に書き写しておくと安心です。声に出すのが緊張する場合は、メモをそのまま先生にお見せしても問題ありません。
Q2. ChatGPTに症状を話すと、その内容が外に漏れたりしませんか?
「右膝が痛い」といった症状の様子だけなら、過度に心配はいりません。ただ、念のため名前・住所・マイナンバー・保険証番号・検査結果の数値などの個人情報は入力しないようにしてください。それだけ守れば安心です。
Q3. AIが整理してくれた内容が、もし間違っていたらどうしよう?
AIの文章は、ときどき事実とちがうことを言う場合があります。だからこそ、整理してもらうのは「あなた自身が体験したこと」だけにします。書き方が変だなと思ったら直してかまいませんし、最後は診察室で医師に確認すれば大丈夫です。
Q4. 急に具合が悪くなったときも、まずAIに聞いたほうがいいですか?
いいえ。症状が強いときや急ぐときは、AIに聞かず、すぐに医療機関を受診するか救急(119番)に電話してください。AIは落ち着いているときの「準備」に使う道具です。
Q5. スマホの操作に自信がありません。ひとりでもできますか?
最初の登録だけ、お子さん・お孫さんやお店の方に頼ってもまったく問題ありません。一度入れてしまえば、あとは「話しかける」だけです。少しずつ慣れていけば十分です。
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出典
本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。健康・受診に関することは、必ずかかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
- 日本医師会「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」(国民のみなさまへ)
- 日本医師会「健康ぷらざ」(国民のみなさまへ・健康医療情報)
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者の皆様へ・くすりの相談」
- 厚生労働省(医療・健康に関する公的情報)
- 公益社団法人 全日本病院協会(病院のかかり方に関する情報)
著者プロフィール
佐藤傑(さとう・すぐる)。株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を行うかたわら、シニアの方やそのご家族がAIにやさしく親しめる活用法を発信しています。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆。