結論:シニア(60代〜80代)の方とご家族が、お金にまつわる7つの場面(年金・節約・銀行手続き・保険見直し・遺言・詐欺対策・キャッシュレス)でChatGPT(AIへの相談相手)を「下書き役・整理役」として使うと、紙の山と窓口往復が驚くほど減ります。
- 要点1:使うのは「お金の判断」ではなく「文章の下書き・要点の整理・確認の手順づくり」。最終判断は必ずご本人・専門家(年金事務所・銀行・税理士・社労士・弁護士)で行います。
- 要点2:本記事のプロンプト(AIへの指示文)7本はすべてコピペで使えます。ただし口座番号・暗証番号・マイナンバー・お薬手帳の中身など個人情報はAIに話さない、が大原則です。
- 要点3:3つの想定シナリオ(70代1人暮らし/60代夫婦/80代+家族見守り)で「実際にどう使うか」を具体的に紹介します。
対象読者:60代〜80代のご本人と、親のお金まわりを少しでも軽くしてあげたい30代〜50代のご家族。
今日やること:まずは「年金の手続きでわからなかったこと」を1つだけ、本記事のプロンプト1(年金問合せメモ)に貼り付けて、ChatGPTに整理してもらう。それだけで十分です。
「年金、いくらもらえるんだったかしら…」「銀行のオンライン手続き、画面の言葉がむずかしくて」「最近、見覚えのないSMS(ショートメール)が届いて怖い」。
こうした「お金の小さな困りごと」は、シニアの方とそのご家族にとって、ボディブロー(じわじわ効くストレス)のように積み重なっていきますよね。窓口に行けば長い行列、電話をかければ「次の番号を押してください」の連続、説明書を読めば横文字だらけ。
私自身、70代の母にChatGPTを教えた時のことなのですが、最初に喜んでもらえたのは「年金事務所に何を聞けばいいか、メモを作って」とお願いした場面でした。母は「これなら電話の前に深呼吸できる」と言ってくれて、AI(人工知能)の使いどころは、こういう「ちょっとだけ前を整える」ことなんだと、はっきり感じました。
この記事では、お金まわりの7つの場面で、ChatGPTを「下書き役・整理役」として安全に使うコツを、シニア向けの言葉でやさしくお伝えします。専門用語にはなるべく日本語の言い換えを添えて、スマホ操作の前提もちゃんと書きますので、ご自身のペースで読み進めてみてください。
1. 年金の手続き・受給額確認をChatGPTで楽にする
年金は、シニアの暮らしの土台ですから、「いくらもらえるのか」「いつから受け取れるのか」「繰り下げ(受け取り開始を遅らせて月額を増やす制度)はどうすればいいのか」、気になることが山ほど出てきますよね。
保険の見直しをAIを使って体系的に進める方法はシニアの保険見直しをChatGPTで行う方法で詳しく紹介しています。
まず大切なのは、最終的な金額や手続きの可否は、必ず日本年金機構の窓口(年金事務所)またはねんきんダイヤルで確認することです。ChatGPTは「電話の前に話を整理する」ためのメモづくり役に徹してもらいます。
たとえばこんな使い方ができます。
- 「ねんきん定期便」が届いたけれど、どこを見ればいいかわからない → 質問リストを作ってもらう
- 繰り下げ受給の仕組みがピンと来ない → 一般的なルールを「やさしい言葉」で説明してもらう
- 年金事務所に電話する前に、聞きたいことを3つに整理してもらう
プロンプト1:年金問合せメモ(コピペで使えます)
あなたはやさしい年金相談員です。私はシニア(年齢は伏せます)で、年金についてわからないことが3つあります。 1) ねんきん定期便のどこを見れば、自分の今までの加入期間がわかるか 2) 受け取り開始を遅らせると、月額がどれくらい増えるのか(一般的なルールだけで結構です) 3) 年金事務所に電話で問い合わせる時、最初に伝えるとスムーズな情報は何か それぞれについて、子供にも説明できるくらいやさしい言葉でまとめてください。 不足している情報があれば、最初に質問してから作業を開始してください。 仮定した点は必ず「仮定」と明記してください。 個人を特定する情報(基礎年金番号・口座番号・住所・生年月日)は私から伝えませんし、AIからも聞かないでください。
このプロンプトのポイントは、最後の3行です。「不足があれば聞いてね」「仮定は明記してね」「個人情報は使わない」という3つのルールを毎回入れておくと、ChatGPTが「勝手に決めつけて間違える」確率がぐっと下がります。
出典:年金の最新の金額・条件は、日本年金機構の公式ページ(https://www.nenkin.go.jp/、2026年5月26日参照)でご確認ください。
2. 家計の節約ポイントを整理する
節約というと、「我慢」「ケチ」のイメージが先に立ってしまいますが、本当に効くのは「自分が今、何に、いくら使っているかを見える化する」ことです。ここでもChatGPTは整理役として頼れます。
ただし大事な注意点がひとつ。口座番号やクレジットカード番号、暗証番号、明細PDFそのものをAIに貼り付けるのはやめてください。代わりに、「食費」「光熱費」「通信費」のようにカテゴリと金額だけを伝えます。金額も、千円単位で丸めて構いません。
「先月の食費が4万円くらい、光熱費が2万円、通信費が1万5千円、その他で3万円」。これくらいの粒度なら、特定の個人を識別できる情報にはなりません。安心して相談できます。
プロンプト2:節約アイデア
あなたはシニア向けの家計アドバイザーです。 私(60代後半・夫婦2人暮らし・地方都市)の先月の主な支出はおおよそ次の通りです。 口座番号・カード番号などの情報は含まれていません。 - 食費: 4万円台 - 光熱費: 2万円台 - 通信費(スマホ2台・自宅ネット): 1万5千円前後 - 医療費: 1万円前後 - 趣味・交際費: 2万円前後 この内容を見て、シニアでも無理なくできそうな節約の工夫を、優先順位の高いものから5つ、やさしい言葉で教えてください。 具体的にどう動けばよいか、最初の一歩も添えてください。 仮定した点は「仮定」と明記してください。
「無理なく」「やさしい言葉で」「最初の一歩」と書くだけで、ChatGPTの答え方が一気にシニア向けになります。逆に「節約術を教えて」だけだと、若い人向けのサブスク見直しなどに偏りがちです。
節約の定番テーマとしては、通信費の見直し(格安スマホへの切替)、電気・ガスの契約プラン見直し、不要なサブスク(毎月の自動引落しサービス)の整理、保険の重複確認などが挙げられます。本記事はあくまで一般論で、個別の最適解はご自身の家計と契約状況によって異なります。
3. 銀行・郵便局のオンライン手続きをChatGPTでガイドしてもらう
ネットバンキング(銀行のインターネット手続き)やゆうちょダイレクトを使ってみたいけれど、画面の言葉がむずかしい。これは多くのシニアの方が抱える悩みです。
ChatGPTは「画面に書いてある言葉の意味」を、やさしい日本語に翻訳してくれます。たとえば「ワンタイムパスワード(1回だけ使える数字のパスワード)」「リアルタイム振込(その場ですぐ相手の口座に届く送金)」など、銀行特有の言葉を一度に整理できます。
ただし、ここでも個人情報の取り扱いには注意です。具体的な口座番号、銀行印、暗証番号、ログインID、ログインパスワード、ワンタイムパスワードの実物は絶対にAIに話してはいけません。AIに伝えるのは「銀行名」と「やりたいこと」だけで十分です。
プロンプト3:銀行手続き手順
あなたはシニア向けの銀行手続きサポーターです。 私はゆうちょ銀行で、家族(息子)への振込を月に1回、自分のスマホからやってみたいと思っています。 これまで窓口でしか振込みをしたことがありません。 次の3点を、シニアでも迷わない言葉で順番に教えてください。 1) スマホで振込みを始める前に、用意しておくべき情報は何か(個人情報の数字そのものは答えに含めず、「振込先の銀行名・支店名・口座番号・名義人」のように「項目」だけ示してください) 2) 一般的にゆうちょ銀行のスマホアプリで、振込みは何ステップくらいで完了するか 3) 不安なら、最初の1回は誰に立ち会ってもらうのがおすすめか 「ワンタイムパスワード」など銀行用語が出てきたら、必ず()の中にやさしい言葉で説明を添えてください。 最新の操作画面は銀行公式の案内を必ず確認するよう注意書きを入れてください。
最後の「最新の操作画面は銀行公式の案内を必ず確認」という一文を入れておくと、ChatGPTの答えに必ず注意書きが入るので、ご家族にも安心です。実際のボタン位置や画面遷移は更新されることがあるため、銀行公式アプリの最新画面に従ってください。
4. 保険の見直し(生命保険・医療保険)
「いつから入ったのかも忘れた古い保険」「払い続けているけど、本当に必要かわからない医療保険」。これも、シニア世代によくあるお金の重荷です。
保険の見直しは、最終的にはファイナンシャルプランナーや保険代理店、または各保険会社の窓口で相談するのが安全です。ChatGPTには「比較の観点を整理してもらう」役をお願いします。
ここでも、保険証券番号や担当者の連絡先、契約内容の細かい数字をそのまま貼り付けるのは避けます。「終身保険1本」「医療保険2本」のようにざっくり伝えるだけで十分です。
プロンプト4:保険比較の観点整理
あなたはシニア向けの保険の整理役です。私は70歳・1人暮らし・持ち家・子供2人(独立済)で、現在加入している保険はおおよそ次の通りです。 - 終身保険: 1本(20代の頃に加入) - 医療保険: 2本(40代と60代で別の保険会社で加入) - がん保険: 1本 これらを「これからの暮らし」に合わせて見直したい場合、ファイナンシャルプランナーや保険会社の窓口で相談する前に、自分で整理しておくと話が早い「観点」を5つ教えてください。 注意事項: - 具体的な保険商品名・会社名のおすすめは不要です(私自身が比較したいだけです) - 個別の最終判断は専門家に相談する前提とします - 仮定した点は「仮定」と明記してください
「商品名のおすすめは不要」と書いておくのが地味に大事です。これを書かないと、ChatGPTが特定商品を勧めるような表現を返してしまうことがあり、そのまま信じると後悔につながります。AIはあくまで「比較の観点を一緒に考えてくれる相棒」と割り切ってください。
出典:保険の制度的な前提(公的医療保険・高額療養費制度など)は、厚生労働省の公式ページ(https://www.mhlw.go.jp/、2026年5月26日参照)でご確認ください。
5. 遺言・遺産整理の準備をChatGPTで下書きする
遺言や相続のことは、つい先延ばしになりがちですが、いざという時にご家族の負担を大きく左右します。ここでもChatGPTは「考えのたたき台を作る」役で力を発揮します。
大事な前提を最初に書きます。ChatGPTが作る文章は、法的な効力のある「遺言書」そのものではありません。実際に効力のある遺言書を作るには、自筆証書遺言の決まり(日付・署名・押印・全文自書または財産目録の取扱いなど)や公正証書遺言の作成(公証役場での作成)など、法律で決まった形式に従う必要があります。最終的には弁護士・司法書士・公証役場に相談してください。
ChatGPTにお願いするのは、「自分の意志を、家族にちゃんと伝わる言葉に整える」ことです。
プロンプト5:遺言の下書き(あくまで意志を整理するためのメモ)
あなたはシニア向けに「自分の気持ちを家族に伝わる文章に整える」サポーターです。 これは法的に有効な遺言書を作るためのものではなく、後日に弁護士・司法書士・公証役場で正式な形式に整える前の「意志メモ」の下書きです。 以下は私の希望の概略です(具体的な銀行口座番号・残高・不動産の地番などは含めません)。 - 配偶者: なし - 子供: 2人(長男・長女) - 主な財産の種類: 預貯金・自宅(持ち家)・少額の有価証券 - 希望: 自宅は長女に住み続けてほしい、預貯金は子供2人で分けてほしい、葬儀は家族葬で簡素に この内容を、家族に読んでもらった時にやさしく伝わるよう、A4一枚程度のメモ形式に整えてください。 注意: - 法的な効力のある遺言書ではないことを冒頭に明記してください - 弁護士・司法書士・公証役場で正式な形に整えることを末尾で勧めてください - 具体的な金額・口座番号・地番は出力に含めないでください
このプロンプトの良いところは、ご家族との話し合いの「たたき台」を作れることです。いきなり公証役場に行くのはハードルが高くても、「こういう気持ちで考えています」というメモがあれば、ご家族や専門家との会話が一気にスムーズになります。
6. 詐欺対策(特殊詐欺・SMS詐欺・電話詐欺)
シニアのお金まわりで、いま一番気をつけたいのが詐欺対策です。「ATMに行ってください」「払い戻しがあります」「あなたの口座が不正利用されています」――こうした電話・SMS・メールは、年々巧妙になっています。
国民生活センターの公式情報によれば、特殊詐欺の被害は依然として高水準で推移しており、特に「警察官や金融機関職員、市役所職員を名乗る電話」での被害が多いことが繰り返し注意喚起されています(国民生活センター 特殊詐欺関連情報 https://www.kokusen.go.jp/、2026年5月26日参照)。
ChatGPTには「怪しい電話やメールが来た時に、どう対応すればいいかのスクリプト(受け答え集)を作ってもらう」のがおすすめです。
プロンプト6:詐欺電話への対応スクリプト
あなたはシニア向けの詐欺対策アドバイザーです。 最近、次のような電話・SMSが私や家族にかかってきます。 A) 「警察ですが、あなたの口座が犯罪に使われています」と名乗る電話 B) 「市役所の還付金です。ATMに行ってください」という電話 C) 「宅配便のお届けに失敗しました」というSMSのリンク D) 「クレジットカードが不正利用されました。本人確認を」というメール それぞれについて、 1) いったん何と返事をして電話を切る/メッセージを閉じればよいか(具体的な台詞) 2) その後、誰に連絡すればよいか(警察相談窓口の番号は「#9110」、消費者ホットラインは「188」など、一般的に知られている番号だけで結構です) 3) 家族にどう共有しておけば、次に同じ電話が来た時に冷静でいられるか を、シニアと家族の両方が読める言葉で、優先順位の高い順に教えてください。 「絶対に安全」「これで完全に防げる」など過剰な断定は使わないでください。 最終確認は警察や消費生活センターに行うよう注意書きを入れてください。
「過剰な断定は使わないで」と入れておくと、ChatGPTが安易に「これで安心です」と書かなくなります。詐欺対策に「絶対」はありません。だからこそ、定型の受け答え(「いったん切ります、家族と相談します」)を準備しておくことが効きます。
出典:相談窓口は警察相談専用電話「#9110」、消費者ホットライン「188(いやや)」、いずれも全国共通の公式番号です。最新情報は警察庁・消費者庁・国民生活センター(前掲)の公式ページでご確認ください。
7. キャッシュレス決済(PayPay・d払い等)のシニア向け使い方
「現金を持ち歩くのが減って便利」「スーパーのレジで小銭を探さなくていい」。キャッシュレス決済(電子的なお支払い)は、シニアの方にこそメリットが大きい仕組みです。一方で、「アプリの画面がたくさんあって、どこを押せばいいのかわからない」という声もよく聞きます。
ChatGPTには、「自分の使い方に合った最初の1ステップ」を教えてもらいます。ここでも、ログインIDやパスワード、銀行口座番号、クレジットカード番号は伝えないでください。AIに伝えるのは「どのアプリを使いたいか」「何を買いたいか」だけで十分です。
プロンプト7:キャッシュレスの使い方
あなたはシニア向けのキャッシュレス決済サポーターです。 私(70代前半・スマホ歴は3年・電話とLINE中心)は、PayPay(ペイペイ)を近所のスーパーとドラッグストアで使ってみたいと思っています。 次の3点を、シニアでも安心して読めるやさしい言葉で順番に教えてください。 1) PayPayを使う前に、最低限決めておくべき「上限金額」(使いすぎ防止)の考え方 2) スーパーのレジで「PayPayで」と伝えた後、店員さん側がやることと、自分側がやることの分担 3) もし画面が真っ白になったり、エラーが出たりしたら、まず誰に相談すればよいか(店員さん・家族・公式ヘルプの順序で) 注意: - 暗証番号・銀行口座番号・パスワードの実物は、私から伝えませんし、AIからも聞かないでください - 「絶対安全」「絶対損しない」などの断定表現は使わず、「上限金額・通知設定で守る」の発想で書いてください - 最新の画面操作はPayPay公式アプリの案内を必ず確認するよう注意書きを入れてください
キャッシュレスのコツは「上限金額」と「通知(使った瞬間にスマホに知らせてくれる機能)」を設定しておくことです。これだけで、もし不正利用が起きてもすぐ気づけます。家族でアプリを覗き合うのが恥ずかしければ、最初の設定だけご家族に立ち会ってもらうのが安心です。
【要注意】お金まわりでよくある失敗パターンと回避策
AIをお金まわりで使う時、過去に実際にあった(または起こりやすい)失敗パターンを4つ挙げます。これは想定シナリオを含む解説です。「自分は大丈夫」と思っている人ほど、念のため目を通してください。
失敗1:金額をそのまま投入する
❌ 「私の年金は月◯◯円で、預金は◯◯銀行に◯◯円あって、長女に◯◯円残したくて…」と詳細にAIに入力する。
⭕ 「年金は月20万円台、預金は数百万円規模、長女に手厚く残したい」のように、千円単位以上で丸めて、銀行名を伏せて伝える。
なぜこれが大事か:AIサービスは、入力された内容を学習や運用に活用する場合があります。具体的な金額・口座を貼ると、長期的に「自分の家計の全体像」が記録されるリスクがあります。丸める・伏せる・項目だけ伝える、の3点を習慣にしてください。
失敗2:AIにマイナンバーを教えてしまう
❌ 「マイナンバーが◯◯◯◯…、これで年金の手続きはできますか?」
⭕ 「マイナンバーを使った手続きの一般的な流れを教えてください。番号自体は私から伝えません」。
マイナンバーは、AIだけでなく、メール・SMS・電話で外部に伝えること自体が原則NGです。手続きで番号が必要な時は、必ず役所・年金事務所・税務署の公式窓口で本人確認のうえで使ってください。
失敗3:詐欺サイトを正規サイトと誤認する
❌ SMSのリンクをタップして、見た目は本物そっくりの銀行ログイン画面でIDとパスワードを入力する。
⭕ どんな案内が来ても、リンクをタップせず、自分でブックマークしてある公式アプリ・公式サイトから入る。
これはAI以前の話ですが、シニアの方の被害が特に多いパターンです。「正しいかどうか判断してほしい」とChatGPTに相談するのも有効ですが、判断に迷う時点で、もう一度家族や銀行・警察に確認するのが最優先です。
失敗4:銀行口座情報を「念のため」AIに共有する
❌ 「もしものために、口座情報を整理しておいてほしい」とAIに口座番号と支店名を貼る。
⭕ 「口座情報の整理表のフォーマット(項目だけ)を作ってください。中身は自分で紙に書きます」とお願いする。
整理は紙のノートまたは家族と共有する物理的なファイルが安全です。AIにはあくまで「整理の枠組み」だけ作ってもらいましょう。
想定シナリオ:3つの暮らしでChatGPTがどう役立つか
ここからは、3つの想定シナリオ(モデルケース)を紹介します。以下は実在の個人ではなく、よくあるパターンを組み合わせた想定上の人物像です。
シナリオ1:70代1人暮らしのAさん(女性)
Aさんは70代前半、夫を見送って5年。子供は遠方に2人。年金と少しの貯金で暮らしています。「銀行に行くのも、最近は腰が痛くて億劫」だそうです。
Aさんが最初にChatGPTを使ったのは、プロンプト1(年金問合せメモ)。年金事務所に電話する前に、聞きたいことを3つに絞ってもらいました。「電話の前に深呼吸できる」と感じたそうです。
次に試したのが、プロンプト6(詐欺電話への対応)。最近、怪しい還付金詐欺の電話が増えていたので、ChatGPTに「いったん切る台詞」を作ってもらい、紙に印刷して電話の横に貼っています。「『今、家族と相談しますので一度切りますね』だけで切れるようになった」と話してくれました。
シナリオ2:60代夫婦のBさん・Cさん
Bさん(68歳・男性)とCさん(66歳・女性)はまだ働いていて、これから完全リタイアを考えるところ。「保険を整理したい」「家計を見える化したい」が課題でした。
2人は週末に一緒にChatGPTを使ってみることにしました。プロンプト2(節約アイデア)で家計を整理し、プロンプト4(保険比較の観点整理)で「ファイナンシャルプランナーに行く前の宿題」を作りました。「相談に行く前に、自分たちで観点が整っていると、話がぜんぜん違う」とBさん。具体的な保険商品の選定は、後日プロの相談員に依頼しています。
シナリオ3:80代+家族見守りのDさん(80代男性)と長男Eさん(50代)
Dさんは80代、奥さんと2人暮らし。長男Eさんは離れて暮らしていますが、月に1度実家に通っています。最近、Dさんが「自分のもしも」を意識し始めたとのこと。
Eさんが帰省した週末、2人でプロンプト5(遺言の下書き)を試しました。「正式な遺言書ではない」「あくまで気持ちを伝えるメモ」と明記したうえで、A4一枚のメモを作成。後日、地元の司法書士に相談する前の「たたき台」になりました。
また、Eさんは離れて暮らす立場として、プロンプト7(キャッシュレス)を使って父親のPayPayの上限金額設定をサポート。「使いすぎや不正利用のリスクが減って、自分も少し安心できた」と話していました。
ChatGPTを始める前のスマホ準備
ここで、AIの話の前に、スマホそのものの準備について一言だけ。シニアの方がChatGPTでつまずく最大の原因は、実は「AIの中身」ではなく、「スマホの文字が小さい」「電池がすぐ切れる」「Wi-Fi(無線インターネット)につながっていない」といった、もっと手前のところにあります。
最初に整えておくと、後がぐっと楽になることを4つだけ挙げます。
- 文字サイズを「大」または「特大」に。iPhoneなら「設定→画面表示と明るさ→テキストサイズを変更」、Androidなら「設定→ディスプレイ→フォントサイズ」。これだけでChatGPTの画面の読みやすさが別物になります。
- 自宅のWi-Fiにつないでおく。モバイル回線(携帯電話の電波)だけで使うと、通信量が早く減ってしまうことがあります。ご家族にお願いして、自宅のWi-Fiを設定してもらえると安心です。
- 音声入力を試す。長い文章を打つのが大変な時は、マイクのマークを押して話しかけるだけで文字に変換されます。「年金事務所に電話する前のメモを作って」と口で言うだけで十分です。
- スクリーンショット(画面の写真を保存する機能)の撮り方を覚える。ChatGPTの返事を保存しておけば、後でゆっくり読み返せます。家族と共有するのも簡単です。
「機械が苦手」と感じるご本人にも、ご家族にも、この4点はAIを使う・使わないに関わらず役に立ちますので、最初の30分でぜひ整えてみてください。
家族(30〜50代)が親をサポートする時のコツ
もしあなたが、親世代のお金まわりを少しでも軽くしてあげたいご家族なら、いくつかコツがあります。
- 「教えてあげる」ではなく「一緒に試す」。横に座って、画面を一緒に覗き込む形がベストです。「ここ押して」「次これ」と急かすと、シニア世代は萎縮してしまいます。
- 最初の1回は、本当にやさしいテーマで。たとえばプロンプト2(節約アイデア)は、答えがすぐ出てくるし、否定されることもないので、ChatGPTの安心感を覚えてもらいやすいです。
- 「失敗してもいい」と先に伝える。シニア世代の多くは「機械を壊してしまうかも」という不安を持っています。「間違えても何も壊れません」「やり直せます」と最初に言ってあげるだけで、表情が変わります。
- 個人情報のルールを最初に共有する。「口座番号・暗証番号・マイナンバー・お薬手帳はAIに話さない」――この4つだけは、紙に書いて電話の横に貼っておくと安心です。
正直にお伝えする「ChatGPTの限界」
ChatGPTはとても便利ですが、お金まわりでは限界もあります。正直にお伝えします。
- 古い情報を拾ってくることがあります。年金の制度改正や、銀行アプリの画面更新、保険商品のラインナップ変更などは、実際の最新情報と異なる場合があります。必ず公式サイトか窓口で確認してください。
- 個別の事情に最適化された判断はできません。あなたの家計・健康状態・家族構成・地域の制度の組み合わせは、世界でひとつだけです。最終判断は必ずご本人と専門家で。
- 「絶対安全」を保証する道具ではありません。詐欺対策、医療、相続――どれも、AIが「これで完璧」と言えるものは存在しません。
だからこそ、「AIに丸投げ」ではなく、「AIを下書き役・整理役に使い、最終判断は人と専門家で」という付き合い方が、シニアの方とご家族にとって一番安全で、いちばん長く役に立つ使い方になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. ChatGPTは無料で使えますか?
A. 無料プランで本記事のプロンプト7本はすべて試せます。より高機能な有料プランもありますが、お金まわりの相談を「下書き・整理」に使う範囲なら、まずは無料プランから始めて十分です。
Q2. スマホでも使えますか?
A. はい、スマホアプリでもブラウザ(Safari/Chromeなどの閲覧ソフト)でも使えます。文字が小さく感じる場合は、スマホ本体の文字サイズ設定を大きくしてから使うと楽です。
Q3. 個人情報を入力してしまった場合は?
A. ChatGPTの設定画面から会話履歴を削除できます。ただし、すでに送ったデータの完全な削除は仕組み上保証されないため、最初から個人情報は入力しないのが鉄則です。マイナンバーや銀行口座番号を入力してしまった場合は、念のため金融機関や年金事務所にも相談してください。
Q4. 詐欺被害に遭ってしまったかもしれません。どうすればいいですか?
A. まず警察相談専用電話「#9110」、または消費者ホットライン「188」に連絡してください。被害額の有無に関わらず、できるだけ早く相談することが大切です。AIへの相談は補助にとどめ、公式窓口を最優先してください。
Q5. NISAやiDeCoについてChatGPTに相談していいですか?
A. 制度の一般的な仕組みを「やさしい言葉で説明してもらう」のはOKです。ただし、個別の商品選定や運用判断は、金融庁の公式情報(https://www.fsa.go.jp/、2026年5月26日参照)や金融機関・ファイナンシャルプランナーで確認してください。投資には元本割れのリスクがあります。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 「年金問合せメモ」のプロンプト1を、まずひとつだけ試してみる。本記事の上のほうに戻って、コピーして貼り付けるだけです。3分かかりません。
- 家族で「個人情報の4つのルール」を共有する。口座番号・暗証番号・マイナンバー・お薬手帳の中身はAIに話さない。紙に書いて電話の横に貼っておくのがおすすめです。
- 3つの想定シナリオ(70代1人暮らし/60代夫婦/80代+家族見守り)から、自分や家族に近いものを1つ選んで、プロンプトを1本だけ試す。最初の1回さえ越えれば、AIへの距離はぐっと近づきます。
お金の話は、どこか後回しになりがちですが、ChatGPTという「やさしい下書き役」が手元にあれば、ひとつひとつの場面が少し軽くなります。ご自身のペースで、お子さん・お孫さんに頼ってもOKです。少しずつ、無理なく進めてみてください。
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出典・参照
- 日本年金機構 公式サイト:https://www.nenkin.go.jp/(2026年5月26日参照)
- 厚生労働省 公式サイト:https://www.mhlw.go.jp/(2026年5月26日参照)
- 国民生活センター 特殊詐欺関連情報:https://www.kokusen.go.jp/(2026年5月26日参照)
- 金融庁 NISA・iDeCo関連情報:https://www.fsa.go.jp/(2026年5月26日参照)
今日から始める3アクション
- 本記事の「プロンプト1:年金問合せメモ」を1つだけコピーして試す(3分で終わります)
- ご家族と「個人情報の4つのルール」を共有する(口座番号・暗証番号・マイナンバー・お薬手帳の中身はAIに話さない)
- シニアAIガイドのシニア向けカテゴリで、もう1本だけ読んでみる(次の話題が見つかります)
※本記事は2026年5月26日時点の情報をもとに作成しています。各種制度・サービスの最新情報は、本文中に記載した公式サイトで必ずご確認ください。本記事はあくまで一般的な情報提供であり、個別の手続き・診断・税務・法務に関する判断は、年金事務所・銀行・保険会社・税理士・社労士・弁護士など、それぞれの専門家にご相談ください。